はじめに――第一性はなぜ遡及的に成立するのか
これまで「第一性の遡及的成立」を成立させるために、三つの論証を構築してきた。
第一の論証では、個体性が成立するための存在論的な基礎を検討した。
その結果、個体性を説明するためには、独立した個体の集合を最初から前提することはできず、差異化された契機とその関係的秩序からなる構造的全体を基礎としなければならないことを論じた。
第二の論証では、構造と構造項の相互構成を検討した。
構造項は、その作用や相互関係によって構造の具体的な実現に参与する。一方、構造は、その内部にある契機の位置や役割を規定することによって、構造項を一定の個体として成立させる。
この二つの関係は相互構成的でありながら、同一性決定という規定次元では、構造的秩序が構成要素の物質的同一性に対して非対称的な優先性を持つことを示した。
しかし、これら二つの論証だけでは、まだ「第一性の遡及的成立」という理論の固有性は十分に証明されていない。
構造が個体性を成立させ、さらに構造的秩序が個体の同一性を決定するということは、構造的個体化存在論の主張である。
では、そこから何が導かれれば、単なる構造的個体化論ではなく、第一性の遡及的成立という独自の理論になるのだろうか。
今回解決しなければならないのは、まさにこの問題である。
本稿の中心的な問いは、次のように定式化できる。
構造と構造項が相互構成的に成立している場合、なぜ構造内部における非対称的な優先性は、構造項にあらかじめ備わった属性としてではなく、構造との関係を通じて遡及的に成立するのか。
この問いに答えるためには、まず、これまでの議論における三つの水準を区別しなければならない。
- 構造の成立――何が一つの構造を成立させるのか。
- 個体性の成立――何が構造項を一定の個体として成立させるのか。
- 第一性の成立――何が構造内部の非対称的な優先関係を成立させるのか。
この三つは、それぞれ異なる存在論的な問題を扱っている。
そして、この三つを単に並べるのではなく、それぞれの成立条件がどのように次の水準を規定するのかを示さなければならない。
本稿では、第一性の成立を、構造内部の依存関係によって形成される位置づけとして定義する。そのうえで、構造の成立がその依存関係の成立領域と規定基準を確定し、構造項の第一性を構造との関係において初めて成立させることを論証する。
その際、特に重要になるのは、構造的優先性と遡及的成立の違いである。
前者は、構造が構造項の個体性や同一性を規定することを意味する。
後者は、構造が成立することによって、何が構造項として数えられ、どのような関係が第一性を成立させる関係として機能するのかまでが確定することを意味する。
この違いを明確にすることによって、三つの論証を一つの存在論として統合したい。
1.構造的優先性だけでは、第一性の遡及的成立にならない
まず、前回までの議論から得られた結論を確認しよう。
構造的個体化存在論によれば、あるものが一定の個体として成立するためには、そのものが構造内部で占める位置や役割が規定されなければならない。
また、構造的秩序が構成要素の物質的同一性よりも、複合個体の同一性決定において優先することがある。
この関係は、次のように表せる。
S ≻id X
ここで、Sは構造的秩序、Xは構成要素の物質的同一性、≻idは同一性決定上の優先性を意味する。
この関係によれば、構成要素が交代しても構造的秩序が維持されるならば、複合個体は同一の個体として存続しうる。
反対に、構成要素が維持されていても、その個体を成立させていた構造的秩序が失われれば、同一の複合個体としての存続は保証されない。
しかし、このことから直ちに、構造内部における第一性が成立するわけではない。
なぜなら、構造が構成要素の同一性に優先することと、構造内部のある項Aが別の項Bに対して第一であることとは、異なる関係だからである。
前者は、構造とその構成要素とのあいだの優先性である。
後者は、構造内部に位置づけられた項同士のあいだに成立する優先性である。
この二つを混同してはならない。
したがって、ここでは二つの非対称性を区別する必要がある。
1.1 構造と構成要素とのあいだの非対称性
これは、前回までの論証によって確立した関係である。
構造は構成要素によって具体的に実現される。
しかし、構成要素がその構造において何であるか、また複合個体が同一の個体として存続するためには何が必要なのかは、構造的秩序によって規定される。
したがって、具体的な実現における相互依存と、同一性決定における優先性が両立する。
1.2 構造内部の項同士のあいだの非対称性
これに対して、今回問題にするのはこちらである。
構造内部の項AとBが、それぞれ異なる位置や役割を持っているとする。
このとき、AがBに対して第一であるためには、単にAとBが異なる位置を占めているだけでは不十分である。
両者のあいだに、特定の規定次元における非対称的な依存関係が成立していなければならない。
例えば、Bがその構造において一定の個体として成立するためにはAの規定が必要である一方、Aがその構造において成立するためにはBの規定を必要としない場合を考える。
この場合、AはBに対して、その規定次元における優先性を持つ。
この関係を、
A ≺S,d B
と表す。
これは、構造Sの内部において、規定次元dに関してAがBに先行することを意味する。
ここでdは、同一性の決定、構成的依存、説明上の基礎づけなど、優先性を判断する特定の規定次元を示す。
このような関係が成立して初めて、構造内部における第一性が問題になる。
したがって、前回の論証で確立された構造的優先性は、今回の論証に必要な存在論的条件ではあるが、それだけで内部の第一性を証明するものではない。
今回の論証では、この二つの非対称性を接続する必要がある。
2.第一性とは何か――関係的な位置としての第一性
次に、第一性という概念を厳密に定義しよう。
通常、第一のものとは、他のものに先立って存在するもの、あるいは他のものの原因や根拠となるものとして理解される。
しかし、「第一性の遡及的成立」では、第一性をそのような独立した属性として扱わない。
第一性とは、一定の構造の内部で、特定の規定次元に関して、他の項に対して非対称的な優先関係を持つ位置である。
この定義には、三つの要素が含まれている。
第一に、第一性は構造に相対的である。
あるものが第一であるということは、常に何らかの構造Sにおいて第一であることを意味する。
第二に、第一性は規定次元に相対的である。
あるものは因果的には後続していても、説明上は第一であるかもしれない。また、時間的には先行していても、個体の同一性決定においては優先しないかもしれない。
したがって、第一性を判断するためには、何についての優先性なのかを指定しなければならない。
第三に、第一性は非対称的である。
AがBに対して第一であるならば、同じ規定次元においてBがAに対して第一であることはできない。
この三つをまとめれば、次のようになる。
定義1:構造相対的第一性
ある項Aが、構造Sの内部で規定次元dに関して第一であるとは、Sによって成立した項の領域において、Aがその次元に関する非対称的な優先関係の起点となり、他の項の規定を基礎づける位置を占めることをいう。
ここで重要なのは、第一性を単なる二項間の非対称性と同一視しないことである。
例えば、AがBより優先し、BがCより優先しているだけでは、Aが必ず構造全体の第一であるとは限らない。
構造全体における第一性を成立させるためには、優先関係の全体が一定の秩序を形成していなければならない。
そのため、構造内部の優先関係について、次の条件を導入する。
2.1 優先関係の形式的条件
≺S,dが第一性を成立させる関係であるためには、少なくとも次の条件を満たす必要がある。
非反射性
どの項も、自分自身に対して優先することはない。
A ≺ A は成立しない。
推移性
AがBに優先し、BがCに優先するならば、AはCに対しても優先する。
A ≺ BかつB ≺ Cならば、A ≺ Cである。
非対称性
AがBに優先するならば、BがAに優先することはない。
A ≺ Bならば、B ≺ Aではない。
この三つの条件によって、優先関係は厳密な順序関係として扱うことができる。
さらに、構造全体の第一性を確定するには、一つの項が唯一の起点となっている必要がある。
すなわち、ある項Aが第一であるためには、Aに先行する項が存在せず、構造内部の他の項がAから形成される優先関係の秩序のなかに位置づけられていなければならない。
この条件を満たすAを、構造Sにおける規定次元dの第一の項とする。
したがって、すべての構造に必ず一つの第一の項が存在するわけではない。
対称的な構造や、複数の独立した起点を持つ構造では、唯一の第一項は成立しない場合がある。
これは理論の欠落ではない。
第一性が成立するためには、構造内部にどのような非対称性が必要なのかを明確にするための限定である。
「第一性の遡及的成立」が主張するのは、あらゆる構造に必ず第一の項が存在するということではない。
第一性が存在する場合、その第一性は、構造から独立した属性ではなく、構造によって成立する非対称的な優先秩序における位置として規定されるということである。
3.第一性を成立させる関係は、何によって決まるのか
ここで、さらに重要な問題が生じる。
優先関係が構造相対的であるならば、その優先関係そのものは、何によって決まるのだろうか。
例えば、AとBが構造Sにおいて異なる位置を持っていたとしても、AがBより優先するとは限らない。
AとBの位置の違いから、非対称的な優先関係が自動的に導かれるわけではないからである。
したがって、第一性の成立には、構造内部に単なる差異や関係が存在するだけでは不十分である。
そこには、特定の規定次元において、どの項が他の項の成立条件を基礎づけているのかを決定する関係が必要になる。
これを、構造的基礎づけ関係Gとする。
3.1 構造的基礎づけ関係
構造Sの内部で、AがBの個体としての規定を基礎づけているとする。
このとき、単にAがBに因果的な影響を与えているだけでは十分ではない。
Aの規定が、BがSにおいて何であるかを成立させるための構成的条件になっていなければならない。
ここでいう基礎づけは、時間的・因果的な先行を意味しない。
BのSにおける位置や役割を説明するためには、Aが担う規定が不可欠であるという、構成的な依存関係を意味する。
この関係を、
G_S,d(A,B)
と表す。
これは、規定次元dにおいて、AがBの構造内部での規定を基礎づけていることを意味する。
しかし、AがBを基礎づけることだけでは、Aが第一であるとはいえない。
A自身がさらに別の項Cによって基礎づけられている可能性があるからだ。
したがって、第一性を確定するためには、この基礎づけ関係全体の秩序を調べなければならない。
3.2 非対称性を恣意的に設定しないための判定条件
ここで、AがBに対して優先するという判断を、単なる定義や任意の順位づけにしないための条件を定める。
AがBに対して規定次元dの優先性を持つためには、次の条件が成立しなければならない。
第一に、BがSにおいて一定の個体として成立するためには、Aが担う構造的規定が必要である。
第二に、AがSにおいて同じ規定次元の個体として成立するためには、Bが担う規定を必要としない。
第三に、この依存関係は、単なる時間的先行や因果的作用ではなく、Sにおける位置・役割・同一性条件の成立に関するものである。
第四に、この依存関係は、同じ構造的条件のもとで一貫して成立しなければならない。
これらを満たす場合に限り、AはBに対して規定次元dの基礎づけ上の優先性を持つといえる。
ここで重要なのは、非対称性が、観察者によって任意に割り当てられるものではないという点である。
構造内部の制約Kが、どの位置や役割が他の位置や役割の成立条件になっているのかを決定している。
したがって、第一性は、構造的秩序に内在する依存関係によって判定される。
このように考えるならば、第一性の成立は、単に構造内部に序列を設定することではない。
それは、構造がその内部の項に与えている規定上の非対称性を明らかにすることなのである。
3.3 第一性の成立条件
以上をまとめると、ある項Aが構造Sの内部で規定次元dの第一のものとして成立するためには、次の条件が必要である。
- Sが一つの構造的領域として成立していること。
- Sの内部に個体化された項の領域が成立していること。
- その項のあいだに、規定次元dにおける非対称的な基礎づけ関係が存在すること。
- その関係が推移的な秩序を形成していること。
- Aがその秩序の唯一の起点であること。
この条件を満たす場合、AはSにおける第一の項となる。
したがって、第一性は、構造が存在するだけで自動的に成立するものではない。
構造の内部に、第一性を成立させる非対称的な基礎づけ秩序が存在するときに成立する。
これによって、第一性の成立条件が明確になった。
4.なぜ第一性は構造に先立って成立している必要がないのか
ここから、今回の中心問題に進もう。
第一性が構造内部の非対称的な依存関係によって成立するならば、なぜその第一性は、構造に先立って独立に存在している必要がないのだろうか。
その理由は、第一性を成立させるために必要な条件が、構造の成立によって初めて一つの領域として確定するからである。
これを明確にするために、構造と構造項の関係を、もう一度異なる角度から整理しよう。
4.1 構造の成立は、第一性の成立領域を確定する
構造Sが成立する以前に、複数のものが存在していたとしても、それらがSの内部でどのような項になるのかはまだ確定していない。
あるものは、別の構造では一つの独立した個体として成立しているかもしれない。
しかし、Sにおいては、別の項の部分となり、特定の位置や役割を占める契機となるかもしれない。
したがって、あるものがSにおいてどのような項として数えられるのかは、Sの成立条件によって規定される。
ここで、構造の成立は単に既存の項を一つの場所に集めることではない。
それらのものが、どのような関係的領域に属し、どのような位置や役割を占めるのかを決定する。
これによって、第一性が成立しうる領域そのものが確定する。
4.2 構造の成立は、優先性を判断する規定次元を確定する
次に、構造が確定するのは、項の領域だけではない。
どのような意味で第一性を判断するのかという規定次元も、構造の成立条件によって限定される。
例えば、同じ二つの項AとBが存在していても、次のような異なる関係が成立しうる。
- 時間的にはAが先行する。
- 因果的にはBがAの原因となる。
- 同一性決定上はAがBの成立条件となる。
- 説明上はBがAを説明する。
これらは互いに矛盾するとは限らない。
なぜなら、第一性を判断する規定次元が異なるからである。
したがって、あるものが第一であると主張するためには、単にそのものが他のものに対して優位にあるというだけでは不十分である。
どの規定次元において、何を基準に優先性が成立するのかを確定しなければならない。
そして、その規定次元は、対象となる構造の性格によって限定される。
このことは、第一性の成立が、構造とは無関係に確定できる属性ではないことを示している。
4.3 構造の成立は、優先関係そのものを成立させる
さらに、構造は、項の領域と規定次元だけでなく、それらを結びつける依存関係そのものを成立させる。
ある項AがBに対して優先するのは、Aが単独で優先性を所有しているからではない。
Aが担う規定が、Bの構造的な位置や役割を成立させる条件になっているからである。
この依存関係は、構造内部の制約Kによって規定される。
したがって、構造Sが成立することによって、次の三つが同時に確定する。
- 第一性の関係が成立する項の領域。
- 第一性を判断する規定次元。
- その規定次元において、どの項が他の項を基礎づけるのかという依存秩序。
この三つが確定して初めて、ある項が第一のものとして成立する。
ここで重要なのは、構造が第一性を担う項の存在そのものを無から生成する必要はないということだ。
構造によって成立するのは、その項がSにおいて何であり、どのような項に対して、どの規定次元で第一であるのかという関係的な位置づけである。
したがって、項の存在と、項が構造内部で第一のものとして成立することは区別される。
第一性は、項の存在に内在する属性ではなく、構造が成立させる関係的な位置である。
5.構造的優先性と遡及的成立は何が違うのか
ここが本稿の最重要論点である。
これまでの議論を踏まえれば、構造的秩序が項の個体性や同一性を規定することは明らかになった。
しかし、そのことだけなら、構造的優先性の理論として理解できる。
では、そこに「遡及的成立」という概念を導入する独自の理由は何だろうか。
この違いを厳密にするために、まず両者の論理的な射程を分けておこう。
5.1 構造的優先性とは何か
構造的優先性とは、ある構造Sが、その内部にある項の個体性や同一性を規定する条件となっていることである。
この関係では、すでにSと、それに属する項の領域が与えられている。
そのうえで、Sが各項の成立条件に対してどのような基礎づけ関係を持つのかが問題になる。
つまり、構造的優先性は、構造と項のあいだの基礎づけ関係を示す概念である。
形式的には、
S ≻id X
で表される。
ここでSは構造的秩序、Xは項の個体的な同一性である。
しかし、この関係だけでは、Xがどのような構造の項として数えられ、どのような規定次元で第一性を持つのかまでは説明されない。
構造的優先性は、構造が項を規定することを示すが、第一性を成立させる関係領域そのものがどのように成立するかを必ずしも示さない。
5.2 遡及的成立とは何か
これに対して、遡及的成立とは、構造が成立することによって、その構造内部において第一性を担う項の位置、役割、関係、および優先性を判断する規定基準が確定することを意味する。
ここでは、構造は既存の項を単に規定するだけではない。
その項が何として数えられ、どのような関係に置かれるのかという、第一性の成立条件そのものを形成する。
つまり、構造は第一性を規定するだけでなく、第一性という関係が成立する領域を構成する。
この点が、単なる構造的優先性との違いである。
両者を比較すると、次のようになる。
| 構造的優先性 | 遡及的成立 |
|---|---|
| 構造が項の成立条件を規定する | 構造が第一性の成立領域そのものを確定する |
| すでに与えられた項と構造の依存関係を示す | 項の構造相対的な同一性と優先関係の成立を説明する |
| 構造が項より優先する理由を示す | なぜその項が、その構造において第一になるのかを示す |
| 基礎づけ関係の非対称性 | 基礎づけ関係と、その関係項・判断基準の構造的成立 |
したがって、構造的優先性は遡及的成立の必要な契機ではあるが、両者は同一ではない。
5.3 遡及性の核心は、関係項そのものの構造的成立にある
ここで、さらに一歩踏み込んでみよう。
通常、ある項AがBに対して第一であるという関係を考える場合、AとBはすでに独立したものとして成立していると想定される。
そして、その二つのあいだに優先関係が成立すると考える。
しかし、「第一性の遡及的成立」では、この順序を採用しない。
AとBは、構造Sにおける項として、それぞれの位置や役割を規定される。
つまり、AとBが何であるかという関係的な同一性は、Sの成立条件に依存している。
そのうえで、Sの内部にある依存秩序によって、AがBより優先することが成立する。
このとき、Aが第一であるという関係は、構造に先立って独立に成立していたものではない。
なぜなら、AがSにおけるAとして成立することも、BがSにおけるBとして成立することも、そしてAとBの優先関係が成立することも、Sの構造的な条件によって規定されているからである。
ここで、遡及性という概念の本来の意味が明確になる。
構造は、すでに成立した第一性を後から規定するのではない。第一性を成立させる関係項と、その関係を成立させる基準そのものを、構造内部で初めて確定するのである。
これが、構造的優先性を超える、遡及的成立の固有性である。
6.なぜ「遡及的」と呼ばれるのか――三種類の時間・順序との区別
ここで、遡及性という言葉が誤解されないように、いくつかの区別を明確にしておこう。
遡及的成立は、通常の時間的順序を逆転させることではない。
また、後から得られた認識によって過去の出来事の意味が変わるという、単なる認識論的な遡及でもない。
ここでは、少なくとも四つの順序を区別する必要がある。
6.1 時間的順序
時間的順序は、ある出来事が別の出来事より先に起こることを意味する。
例えば、Aが時点t1に存在し、Bが時点t2に存在する場合、t1がt2に時間的に先行する。
第一性の遡及的成立は、この順序について何も主張しない。
構造的秩序が成立する以前に構成要素が時間的に存在していたとしても、問題はない。
6.2 因果的順序
因果的順序は、ある出来事が別の出来事を生み出すことを意味する。
AがBの原因であるならば、AはBに対して因果的な先行性を持つ。
しかし、因果的に先行することと、構造内部で第一性を持つことは同じではない。
原因となるものが、必ずしもその構造の同一性を決定するとは限らないからである。
6.3 説明上の順序
説明上の順序は、あるものを理解するために、何を先に説明しなければならないかという順序である。
例えば、Bを説明するためにはAを説明しなければならない場合、AはBに対して説明上の優先性を持つ。
しかし、説明上の優先性は、存在論的な成立関係と必ずしも一致しない。
後から発見された原理が、それ以前から存在していた対象を説明することもある。
したがって、説明上の先行だけでは、第一性の存在論的成立は証明できない。
6.4 構成的順序
これに対して、今回問題にしているのは構成的順序である。
構成的順序とは、あるものが成立するために、何がどのような条件として必要なのかという順序である。
ここでは、第一性を担う項が、構造に先立って独立した第一性を持っている必要はない。
構造が成立することによって、その項の構造相対的な同一性と優先的な位置が確定するからである。
したがって、遡及性とは、時間的な後続が過去を変更することではなく、構成的な成立関係によって、ある項の位置や優先性が、その項の独立した属性としては先に確定していなかったことを示す概念である。
この意味で、第一性は構造の内部において遡及的に成立する。
7.遡及的成立は循環論証ではないのか
ここで、理論全体に対する最も強い反論を検討しなければならない。
構造は構造項によって成立する。
しかし、構造項は構造によって個体化される。
さらに、構造内部の第一性も構造によって成立する。
そうであれば、構造が構造項を成立させるためには、すでに構造項が存在していなければならないのではないか。
また、構造が第一性を成立させるためには、すでに第一性を持つ項が構造を構成している必要があるのではないか。
この反論は、これまでの論証を総合したときに必ず生じるものである。
しかし、ここで、構造を成立させる側面と構造によって成立する側面を厳密に区別すれば、循環は生じない。
7.1 構成要素としての存在と、構造項としての個体性は異なる
あるものmが構造Sの具体的な実現に参与しているとする。
mは、Sの内部において特定の位置や役割を占める以前にも、別の水準では存在している可能性がある。
しかし、そのことは、mがすでにSにおける個体として成立していることを意味しない。
例えば、ある身体がそれ自体として一つの個体であっても、より包括的な複合個体において、どのような部分として機能するのかは別の問題である。
構造の構成に参与するものとして存在することと、その構造内部の特定の項として個体化されていることは、異なる規定水準に属している。
したがって、構造項が構造を成立させるために必要であるとしても、構造項の構造相対的な個体性までが、あらかじめ成立している必要はない。
7.2 構造の実現と、構造による個体化は異なる関係である
構造が成立するためには、具体的な構成要素とその相互作用が必要である。
しかし、構造が個体化を行うということは、それらの構成要素がその構造において何であるかを規定することを意味する。
この二つの関係は、同じ規定を相互に説明しているわけではない。
構成関係Cは、構造の具体的な実現を説明する。
個体化関係Iは、構造内部における項の同一性を説明する。
したがって、CとIは相互に成立条件となりながら、同一の説明関係として循環しているわけではない。
7.3 第一性も、構造に先立って存在する必要はない
同様に、構造を構成する契機が存在することと、それらが構造内部において第一性を持つことは異なる。
構成要素は、構造の具体的な成立に参与する。
しかし、その構成要素が構造内部で第一のものとして成立するためには、構造内部における位置や役割、そして非対称的な依存関係が必要になる。
したがって、構成要素が構造を成立させることから、その構成要素がすでに第一性を持っていると結論することはできない。
ここで、循環を成立させていた前提が取り除かれる。
構造が必要とするのは、構造的な差異を形成する契機である。
第一性が必要とするのは、その構造の内部で成立する非対称的な優先関係である。
この二つは同じものではない。
構造を成立させるものが、あらかじめその構造における第一のものとして成立していなければならない、という前提そのものが誤っているのである。
これによって、相互構成は循環論証ではなく、異なる規定水準における相互的な成立関係として理解できる。
8.遡及的成立を具体的に示す
ここまでの議論を、簡単な構造モデルによって確認しよう。
二つの構成要素a、bが存在するとする。
この二つは、それぞれ下位の水準では独立した個体として存在していると仮定する。
しかし、ある構造Sに組み込まれると、aとbは異なる役割を持つことになる。
例えば、Sの内部では、aがある関係を成立させるための基礎的な役割を担い、bはその関係によって規定される役割を担うとする。
このとき、Sの内部では、次の関係が成立する。
a ≺S,d b
ここで、aが第一であることは、aが単独でその性質を持っているからではない。
Sが成立することによって、aとbがそれぞれどのような役割を担うのかが規定され、その構造内部の基礎づけ関係によって、aがbより優先することになる。
ここで、別の構造S’を考える。
S’では、aとbの役割が逆転しているとする。
この場合、同じ物質的なaとbが存在していても、構造内部の依存関係は異なる。
したがって、S’では、
b ≺S',d a
が成立しうる。
この例が示しているのは、aとbの物質的同一性が維持されていても、どちらが第一であるかは構造によって変わりうるということである。
つまり、第一性は、項の物質的な同一性に内在しているのではない。
それは、項がどのような構造に属し、どのような関係的秩序を形成しているのかによって成立する。
この例では、同じaが一つの構造では第一であり、別の構造では第一ではない。
また、別の構造では、bが第一になることもある。
したがって、第一性をaそのものに内在する絶対的な属性として理解することはできない。
第一性は、構造に相対的な関係的規定である。
8.1 遡及性は、項の過去の存在を変更しない
ここで、注意したいことがある。
Sが成立することによって、aが過去に存在していたという事実が変更されるわけではない。
また、aの物質的な同一性が、後から別のものに変えられるわけでもない。
遡及的に成立するのは、aがSにおいて何であるかという規定である。
aは、Sに属する以前には、Sにおける第一の項として存在していたのではない。
Sが成立することによって、初めてaはSにおける特定の項として位置づけられ、その内部の依存関係によって第一性を持つことになる。
したがって、ここでの遡及性は、時間的な過去への作用ではなく、構造的な成立による位置づけの遡及的確定である。
9.三つの論証を統合する
ここまでの議論によって、最初の問題に答えるための論理的な基礎が整った。
ここでは、三つの論証を一つの体系として統合しよう。
9.1 論証Ⅰ:構造的全体の存在論的基礎
第一の論証で示したのは、個体性を説明するための存在論的な基礎を、独立した個体の集合に求めることはできないということだった。
独立した個体の集合を最初から前提すると、説明されるべき個体性が説明の出発点ですでに措定されることになる。
したがって、個体性を説明するためには、個体化以前の差異化された契機と、その関係的秩序を基礎としなければならない。
この論証によって、構造的個体化存在論の出発点が確定した。
9.2 論証Ⅱ:相互構成における非対称的な基礎づけ
第二の論証では、構造と構造項の関係を明らかにした。
構造は、構成要素とその相互作用によって具体的に実現される。
一方、構造は、その内部の契機の位置や役割を規定し、個体として成立させる。
さらに、構造的秩序が維持される限り、構成要素の物質的同一性が変化しても個体の同一性は維持されうる。
反対に、構造的秩序が失われれば、構成要素が維持されていても個体の同一性は失われうる。
このことから、構造の具体的な実現に対する構成要素の依存と、個体の同一性決定に対する構造的秩序の優先性が両立することを示した。
9.3 論証Ⅲ:第一性の遡及的成立
今回の第三の論証では、第一性の成立条件を明らかにした。
構造は、構造内部の項の領域、各項の位置や役割、そして優先性を判断する規定次元を確定する。
さらに、その構造内部の制約が、どの項が他の項の成立条件を基礎づけているのかを規定する。
その結果、ある項が第一のものとして成立する。
このとき、第一性は、その項に構造に先立って内在する属性ではない。
構造の成立によって、第一性を成立させる関係項と、その関係の成立条件が確定する。
したがって、第一性は構造との関係を通じて遡及的に成立する。
9.4 三つの論証の依存関係
三つの論証をまとめると、次のようになる。
| 論証 | 中心的な問い | 得られる結論 |
|---|---|---|
| 論証Ⅰ | 何が個体性を成立させるのか | 構造的全体が個体化の存在論的基礎となる |
| 論証Ⅱ | 構造と構造項はどう相互構成されるのか | 相互構成の内部に非対称的な基礎づけが成立する |
| 論証Ⅲ | なぜ第一性は遡及的に成立するのか | 構造が第一性の関係項と成立基準を確定する |
これによって、三つの論証は一つの体系として接続される。
第一の論証が存在論的な基礎を確定する。
第二の論証が構造と個体性の相互構成を確定する。
第三の論証が、構造内部の優先性と第一性の遡及的成立を確定する。
ここでは、後の論証が前の論証の結論を単に繰り返しているのではない。
それぞれが異なる問題を解決しながら、次の問題を成立させるための条件を与えている。
10.「第一性の遡及的成立」の統合定理
以上の議論を、最終的な定理としてまとめよう。
定義1:構造的全体
構造的全体Sとは、差異化された契機、構成的関係、制約からなり、それらが一つの関係的領域を形成しているものをいう。
定義2:構造項
構造項xとは、構造Sの内部において特定の位置と役割を占め、その構造に相対的な個体性を持つものをいう。
定義3:構造的個体化
構造的個体化とは、構造Sがその内部の契機の位置と役割を規定することによって、それらを一定の同一性を持つ項として成立させることをいう。
定義4:構造内部の優先関係
構造内部の優先関係とは、規定次元dにおいて、ある項Aの構造的な規定が別の項Bの構造的な規定の成立条件となる、非対称的な基礎づけ関係をいう。
定義5:構造的第一性
構造的第一性とは、構造Sの内部において、特定の規定次元dに関する非対称的な優先関係の唯一の起点となる項が占める位置をいう。
定義6:遡及的成立
遡及的成立とは、構造Sの成立によって、その構造内部の項の領域、個体としての位置や役割、および第一性を成立させる非対称的な優先関係が確定することをいう。
このとき、遡及的に規定されるのは項の時間的・物質的な存在そのものではなく、その項の構造相対的な同一性と第一性である。
中心定理:第一性の遡及的成立
あるものが特定の構造において第一のものとして成立するためには、そのものが構造に先立って独立した個体性や第一性を所有している必要はない。
構造は、差異化された契機とその関係によって具体的に実現される一方、その内部にある契機の位置と役割を規定することによって、それらを個体として成立させる。さらに、構造内部の制約と基礎づけ関係によって、個体化された項のあいだに特定の規定次元における非対称的な優先秩序を成立させる。
この結果、何が構造内部の項として存在するのか、何がその項の個体性を成立させるのか、そして何が第一のものとして位置づけられるのかが、構造の成立によって初めて確定する。
したがって、第一性は、項があらかじめ独立して所有する属性ではなく、構造と構造項の相互構成の内部で成立する関係的・非対称的な規定であり、その意味と根拠は、構造全体の成立条件を通じて遡及的に確定する。
証明
ある構造Sが成立していると仮定する。
論証Ⅰによれば、構造的全体は、独立した個体の集合を前提とせず、差異化された契機とその関係的秩序によって成立する。
したがって、Sの具体的な成立に参与する契機が、あらかじめSにおける個体として完成している必要はない。
次に、論証Ⅱによれば、Sはその内部にある契機の位置と役割を規定することによって、一定の同一性を持つ項として個体化する。
したがって、構造項がSにおいて何であるのかは、Sの成立条件に依存する。
さらに、Sの内部において、規定次元dに関する非対称的な基礎づけ関係が成立しているとする。
この関係が推移的な秩序を形成し、唯一の起点Aを持つならば、AはSにおける規定次元dの第一の項となる。
しかし、Aの第一性は、Aの構造から独立した属性ではない。
なぜなら、AがSにおける項として何であるのか、Bその他の項がどのような位置を占めるのか、また何を基準として優先性を判断するのかは、Sの成立条件によって規定されているからである。
したがって、Aが第一であることは、Sの成立に先立って独立に確定しているのではない。
Sの成立によって、Aと他の項の構造相対的な同一性、依存関係、優先性の規定次元が確定し、その結果としてAの第一性が成立する。
この成立関係は時間的な逆行ではなく、構造的な成立条件に依存する構成的な順序である。
ゆえに、第一性は、構造と構造項の相互構成の内部で成立し、構造全体の成立条件を通じて遡及的に確定する。
証明終。
11.この理論は何を主張し、何を主張しないのか
ここで、理論の射程を最終的に確定しておこう。
「第一性の遡及的成立」は、第一性に関するあらゆる問題を一つの原理で説明する理論ではない。
それは、第一性を構造から独立した絶対的な属性として扱うことを拒否し、構造内部における個体化と非対称的な依存関係から説明する存在論である。
したがって、次のような主張はしない。
第一に、すべての構造に必ず唯一の第一項が存在するとは主張しない。
対称的な構造や複数の起点を持つ構造では、唯一の第一性が成立しない場合がある。
第二に、第一性が時間的な先行性と同じであるとは主張しない。
時間的な第一性と、同一性決定上の第一性、説明上の第一性は、それぞれ異なる規定次元に属する。
第三に、構造が構成要素から独立した実体であるとは主張しない。
構造は、構造項によって具体的に実現される。しかし、その項の構造相対的な個体性と優先的位置を規定する。
第四に、あらゆる存在者が他の何かによって存在論的に基礎づけられなければならないとは主張しない。
本理論が説明するのは、個体性と構造内部の第一性の成立条件である。
このように射程を限定することによって、理論は、存在一般の究極的な理由を説明することなく、個体化と第一性の問題について独自の存在論的主張を確立できる。
ここで、特に重要なのは、第一性の遡及的成立が単なる相対主義ではないということだ。
あるものが第一であるかどうかは構造に依存する。
しかし、その判断は任意のものではない。
構造内部の関係と制約、個体化条件、基礎づけ関係によって、第一性の成立には客観的な条件が与えられている。
したがって、第一性は構造相対的でありながら、恣意的なものではない。
また、構造が変われば第一性も変わりうるが、それは同じ規定次元における判断が矛盾していることを意味しない。
異なる構造において、異なる優先関係が成立しているからである。
このことによって、第一性の関係的な性格と、第一性の客観的な成立条件を両立させることができる。
結論――第一性は、第一のものとして存在する以前に、第一性を成立させる構造を必要とする
ここまでの三つの論証によって、「第一性の遡及的成立」の中心的な存在論的構造を確定することができた。
第一の論証では、個体性を説明するための存在論的な基礎を明らかにした。
個体性は、独立した個体の集合を前提として成立するのではなく、差異化された契機とその関係的秩序からなる構造的全体を基礎として成立する。
第二の論証では、構造と構造項の相互構成を明らかにした。
構造項は構造の具体的な成立に参与する一方、構造はその項の位置と役割を規定し、個体として成立させる。
この相互構成の内部では、構造の具体的な実現に対する構造項の構成的依存と、個体の同一性決定に対する構造的秩序の優先性が両立する。
そして第三の論証では、構造的個体化によって成立した項のあいだに、どのようにして第一性が成立するのかを明らかにした。
構造は、第一性を成立させる項の領域、各項の構造相対的な同一性、規定次元、そして非対称的な基礎づけ関係を確定する。
したがって、第一性は、そのものにあらかじめ備わった属性として存在する必要はない。
構造の成立によって、何が第一のものとして位置づけられるのかが初めて確定する。
ここで、三つの論証の成果を一つの順序として表してみよう。
第一水準:構造の成立
差異化された契機と関係が、一つの構造的な秩序を形成する。
↓
第二水準:個体性の成立
構造内部の位置と役割が規定され、契機が一定の個体として成立する。
↓
第三水準:第一性の成立
構造内部の非対称的な基礎づけ関係によって、ある項が特定の規定次元における第一のものとして成立する。
この三つの順序は、時間的な順序ではない。
それぞれが次の水準の存在論的な成立条件となる、構成的な順序である。
そして、この構成的な順序こそが、第一性の遡及的成立を可能にしている。
従来の第一性の理解では、第一のものは、他のものに先立って独立に成立していると考えられる。
しかし、その考え方では、第一性が何に対して、どのような意味で第一なのかという問題が解決されない。
第一性を持つものと、それに対して後続するものとの関係を確定しなければ、そもそも第一性を規定することができないからである。
さらに、その関係を成立させるためには、両者がどのような項として存在し、どのような構造に属しているのかが明らかにされなければならない。
したがって、第一性は、自分自身の内部に完結した属性ではない。
第一性を成立させるためには、それを担う項と、その項を位置づける構造と、両者のあいだの非対称的な依存関係が必要になる。
ここで、通常の順序は転倒する。
第一性を持つものが先に存在し、その後に構造との関係が付与されるのではない。
構造が成立することによって、第一性を担う項が何であるのか、その項が他の項に対してどのような優先的位置を持つのかが確定する。
つまり、第一性を持つものが第一性を成立させるのではない。
第一性を成立させる構造的な秩序が、何を第一のものとして成立させるのかを決定するのである。
そして、その決定は、第一性を担う項の物質的な存在そのものを変更することなく、その項が構造内部において何であるかを遡及的に規定する。
ここに、第一性の遡及的成立の固有性がある。
最終定式
以上の三つの論証を統合し、「第一性の遡及的成立」を次のように定義する。
第一性の遡及的成立とは、あるものが特定の構造において第一のものとして成立するための優先関係が、そのものにあらかじめ備わった独立の属性として存在するのではなく、構造と構造項の相互構成を通じて成立することである。
構造は、差異化された契機とその関係によって具体的に実現される一方、その内部にある契機の位置と役割を規定することによって、それらを個体として成立させる。さらに、構造内部の制約と基礎づけ関係によって、個体化された項のあいだに非対称的な優先秩序を成立させる。
したがって、何が構造項として成立するのか、何がその個体性を成立させるのか、そして何が第一のものとして位置づけられるのかは、構造の成立条件を通じて確定する。第一性は、構造から独立した属性ではなく、構造内部の非対称的な依存関係によって成立する関係的な規定であり、その意味と根拠は構造全体を通じて遡及的に成立する。
これによって、構造的個体化存在論と第一性の遡及的成立は、一つの体系として接続される。
構造は個体性の成立条件であり、個体性は第一性の成立条件である。
そして第一性は、構造が成立させる非対称的な優先秩序の内部に位置づけられることによって、初めて第一性として成立する。
第一のものは、最初から第一のものとして存在しているのではない。第一のものを第一のものとして成立させる構造的秩序の内部で、初めて第一性を獲得するのである。
これが、14回の研究と三つの独立した論証を通じて到達した、「第一性の遡及的成立」の体系的な結論である。



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