歴史的前史の構成的資格と第一性の遡及的成立――構造的個体化の通時的拡張

当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

要旨

本稿の目的は、ある構造が成立する以前に実際に存在していた過去の履歴が、後続構造に対してどのような構成的意味を持つのかを明らかにすることである。

第一論文「構造的個体化から第一性へ」では、前個体的差異場Δに内在する差異的契機が構成的関係Rᶜによって組織化され、構造Sを形成することで、その内部の契機が構造項として個体化されることを論じた。また、構造内部における構成的同一性依存ODの非対称性から、構造相対的な第一性が成立することを示した。

しかし、構造の成立を現在の内部関係だけから説明することはできない場合がある。ある構造の同一性条件が、それ以前に実際に生じた出来事、過程、制度形成および関係の成立に依存している場合、その履歴は単なる時間的先行や因果的背景ではなく、後続構造の成立に関わる構成的な前史として理解されなければならない。

本稿は、この問題に対して通時的構成的依存可能性を認める基本前提A3を導入する。A3は、後続構造の構成的同一性条件が、構造成立以前の履歴に依存しうることを認める独立した存在論的前提である。ただし、時間的に先行するすべての出来事が、後続構造の構成的前史になるわけではない。

そこで本稿では、全履歴H(t₀)から、後続構造Sと同一性水準Dに照らして構成的に関連する履歴H_{S,D}(t₀)を選別するための五条件を提示する。それらは、時間的先行性と実在性、歴史的識別可能性、後続構造への連続的な伝達、構造的不変項K_D(S)に対する構成的関連性、そして出来事そのものの代替可能性と構成的役割の必要性の区別である。

さらに、これら五条件を満たすことと、選別された履歴が構造的境界B_D^α(S)に実際に含まれることを区別する。前者は構成的前史の候補を選別する条件であり、後者は、その履歴が後続構造の最小完全な構成的依存閉包に属していることを示す独立した証明課題である。

以上を踏まえ、本稿は、歴史的な履歴が後続構造に対して構成的資格を持つことを歴史的遡及性として定義する。ここでいう遡及性は、過去の出来事が後から変更されることや、未来から過去へ因果作用が及ぶことを意味しない。過去の履歴が実際に存在していたという事実を維持したまま、その履歴が後続構造の構成的前史として確定することである。

また、歴史的資格Qと歴史内部の第一性を区別する。履歴が構成的前史としての資格を得たことだけでは、歴史的第一性は成立しない。歴史内部の第一性を認めるためには、第一論文で定義した構成的同一性依存ODが、同じ構造、同じ同一性水準および同じ規定次元において非対称的に成立することを別途示さなければならない。

最後に、第一論文の構造的個体化と本稿の歴史的遡及性を、統一定理T3によって接続する。そのために、両論文が共有する構造的不変項、異なる型の関係を結ぶ構成的依存秩序、そして選別された過去履歴の同一の構造的閉包への実際の包含という三つの条件を提示する。

以上によって本稿は、構造内部の個体化と第一性を扱う第一論文を、構造成立以前の履歴にまで通時的に拡張し、両者を一つの構造的個体化存在論として統合する。

キーワード: 歴史的遡及性、構成的前史、時間的依存、構造的不変項、構造的境界、歴史的資格、構成的同一性依存、第一性


1.序論――構造の成立と過去の履歴

    1. 要旨
  1. 1.1.構造は現在の関係だけで成立するのか
  2. 1.2.時間的先行性と構成的依存の区別
  3. 1.3.第一論文との関係
  4. 1.4.本稿の課題と構成
  5. 2.1.第一論文から継承する基本的な存在論
  6. 2.2.歴史的問題における構造の同一性
  7. 2.3.構造的遡及性と歴史的遡及性
  8. 3.1.基本前提A3
  9. 3.2.A3は時間的な逆因果を意味しない
  10. 3.3.定義D13――通時的構成的関係→_c
  11. 3.4.構成的依存経路の時間的な広がり
  12. 4.1.定義D14――全履歴H(t₀)
  13. 4.2.定義D15――選別された履歴H_{S,D}(t₀)
  14. 4.3.履歴の選別と構造的不変項の独立性
  15. 5.1.五条件を導入する理由
  16. 5.2.条件H1――時間的先行性と実在性
  17. 5.3.条件H2――歴史的識別可能性
  18. 5.4.条件H3――後続構造への連続的な伝達
  19. 5.5.条件H4――構造的不変項に対する構成的関連性
  20. 5.6.条件H5――出来事の代替可能性と構成的役割の必要性の区別
  21. 5.7.五条件の統合
  22. 6.1.五条件の相互関係
  23. 6.2.命題P4――歴史的遡及性の可能性
    1. 前提
    2. 使用する定義
    3. 証明
    4. 命題の限定
  24. 6.3.命題P5――五条件を満たす履歴の選別可能性
    1. 前提
    2. 使用する定義
    3. 証明
    4. 命題の限定
  25. 6.4.命題P6――選別された履歴の構造的閉包への実際の包含
    1. 前提
    2. 使用する定義
    3. 証明
    4. 命題の限定
  26. 7.1.定義D16――歴史的資格Q
  27. 7.2.歴史的資格が示すもの
  28. 7.3.歴史的資格と歴史的第一性の区別
  29. 7.4.歴史内部の第一性とOD
  30. 7.5.歴史的第一性の射程
  31. 8.1.命題P4――歴史的遡及性の可能性
  32. 8.2.命題P5――歴史的履歴の選別
  33. 8.3.命題P6――閉包包含の確認
  34. 8.4.定理T2――歴史的前史の構成的資格と遡及的成立
    1. 証明
    2. 定理の限定
  35. 9.1.二つの遡及性の共通基盤
  36. 9.2.統合に必要な問題
  37. 9.3.接続条件B1――共通の構造的不変項
  38. 9.4.接続条件B2――異なる型の関係を結ぶ構成的依存秩序
  39. 9.5.接続条件B3――選別された履歴の同一閉包への実際の包含
  40. 9.6.統一定理T3――構成的依存秩序の領域横断的統一
    1. 証明
    2. 定理の射程
  41. 10.1.過去はすでに確定しているのだから、遡及的な資格など必要ないのではないか
  42. 10.2.歴史的な構成的依存は、結局、因果的依存ではないのか
  43. 10.3.A3は恣意的な前提ではないか
  44. 10.4.五条件は恣意的な選別基準ではないか
  45. 10.5.特定の出来事が代替可能ならば、構成的前史とは言えないのではないか
  46. 10.6.五条件を満たせば、なぜ閉包への包含が別途必要なのか
  47. 10.7.歴史的資格Qが成立すれば、歴史内部の第一性も成立するのではないか
  48. 10.8.構造的境界は過去の履歴を含むように設定されているだけではないか
  49. 10.9.第一論文と第二論文を統合すると、時間と構造が混同されないか
  50. Ⅰ.一次文献・哲学的背景
  51. Ⅱ.歴史・時間・制度に関する研究
  52. Ⅲ.現代形而上学・存在論に関する研究
  53. Ⅳ.本研究の関連論文

1.1.構造は現在の関係だけで成立するのか

ある構造が現在存在しているとき、その構造の成立条件は現在の内部関係だけによって説明できるのだろうか。

例えば、ある組織を考える。

その組織には、構成員、意思決定機関、権限関係、規則、役職などが存在している。現在の組織を分析すれば、それらの関係によって組織の構造や同一性を説明できるように思われる。

しかし、組織がどのように成立したのかを考えると、現在の内部関係だけでは説明できないものがある。

組織の設立に関する合意、最初の規則の形成、構成員の資格の決定、意思決定権限の設定、役割分担の成立などは、組織が現在の構造を持つようになる以前に生じた出来事である。

それらの出来事は、単に時間的に先行したというだけではない。現在の組織がどのような同一性を持つのか、その同一性を成立させる条件に実際に関与している場合がある。

例えば、ある組織が現在の意思決定秩序を持っているのは、過去の設立過程において特定の規則が形成され、その規則に基づいて権限が設定されたためである。

この場合、過去の規則形成は、現在の組織の成立に対する単なる外的な原因ではない。現在の組織が特定の制度的構造を持つための構成的な経路の一部である。

したがって、構造の同一性を説明するためには、現在の内部関係だけでなく、その構造が成立する以前の履歴を検討しなければならない場合がある。

本稿が問題とするのは、このような過去の履歴と後続構造の存在論的関係である。

1.2.時間的先行性と構成的依存の区別

ここで、まず三つの関係を区別する必要がある。

第一は、時間的先行性である。

ある出来事Aが出来事Bより前に発生した場合、AはBに時間的に先行している。

第二は、因果的依存である。

ある出来事Aが、後続する出来事Bの発生に因果的な影響を与えた場合、BはAに因果的に依存している。

第三は、構成的依存である。

ある過去の出来事Aが、後続構造Sの構成的同一性条件を成立させる実際の依存経路に組み込まれている場合、SはAに構成的に依存している。

これらは区別されなければならない。

時間的に先行しているというだけでは、構成的依存は成立しない。例えば、ある組織が設立される前日に、近隣で別の組織の会合が開かれていたとしても、それだけではその会合が当該組織の構成的前史になるわけではない。

また、因果的影響が存在することも、構成的依存の十分条件ではない。

ある人物の発言が組織設立のきっかけになったとしても、その人物の発言が組織の同一性条件を実現する構成的秩序に組み込まれていないならば、その発言は単なる因果的な背景である可能性がある。

本稿が問題とするのは、過去の履歴が後続構造の成立に対して持つ、この第三の関係である。

1.3.第一論文との関係

第一論文「構造的個体化から第一性へ」では、個体性と第一性が構造の成立を通じて遡及的に確定することを論じた。

その基本的な構成は次のとおりである。

Δ → Rᶜ → S

前個体的差異場Δに内在する差異的契機が、構成的関係Rᶜによって組織化されることで構造Sが成立する。

さらに、対象となる同一性水準Dにおいて、構造的不変項K_D(S)と構造的境界B_D^α(S)が確定される。

その構造内部の差異的契機は、次の関係によって構造項として個体化される。

I(S, mᵢ → xᵢ)

また、構造項のあいだに構成的同一性依存ODの非対称性が成立する場合、構造相対的な第一性が導かれる。

しかし、第一論文の議論には、さらに時間的な問題が残されている。

構造Sが成立する以前に実際に存在していた履歴は、どのような条件でその構造の成立に関わるのか。

また、過去の履歴が後続構造の同一性条件を実現する構成的経路に含まれている場合、その履歴は構造の存在論的説明にどのような位置を占めるのか。

第一論文の構造的遡及性だけでは、これらの問題を十分に扱うことはできない。

なぜなら、第一論文が主に扱うのは、構造内部の契機が構造項として個体化されることであり、過去の時間的履歴が構成的前史として資格を得ることではないからである。

そこで本稿では、第一論文の構造的存在論を維持したまま、時間的に先行する履歴へ議論を拡張する。

1.4.本稿の課題と構成

本稿の目的は、過去の履歴が後続構造に対して構成的前史としての資格を得る条件を明らかにし、その成立を第一論文の構造的個体化と接続することである。

議論は次の順序で進める。

第一に、第一論文で確定した構造的存在論の基礎を確認する。

第二に、通時的構成的依存可能性を認める基本前提A3を導入する。

第三に、全履歴H(t₀)から、後続構造Sと同一性水準Dに関係する履歴H_{S,D}(t₀)を区別する。

第四に、履歴が構成的前史として資格を得るための五条件を定義する。

第五に、五条件を満たすことと、選別された履歴が構造的境界B_D^α(S)に実際に包含されることを区別して論証する。

第六に、歴史的資格Qを定義し、歴史的資格から歴史的第一性を自動的に導くことができない理由を明らかにする。

第七に、命題P4・P5・P6と定理T2を提示する。

最後に、第一論文のT1と第二論文のT2を統一定理T3によって接続する。

2.共通の存在論的基礎

2.1.第一論文から継承する基本的な存在論

本稿は、第一論文で提示した構造的存在論を出発点とする。

その基本的な構成は、次のとおりである。

前個体的差異場Δ

個体化された存在者の集合ではなく、個体性を成立させる以前の異質性、強度差、潜在的緊張および相互規定可能性を備えた存在論的基礎である。

構成的関係Rᶜ

差異的契機の位置、役割、同一性条件および構造的統一を成立させる関係である。

構造S

差異的契機が構成的関係と相互制約によって組織化され、一つの関係秩序を形成したものである。

同一性の水準D

何の同一性を説明対象とするのかを指定する水準である。

構造的不変項K_D(S)

同一性の水準Dにおいて、構造Sがその同一性を維持するために必要となる、最小かつ完全な構成的制約の体系である。

構造的境界B_D^α(S)

構造的不変項K_D(S)を実現するために必要な構造的契機、構成要素および構成的関係を含む、最小完全な構成的依存の閉包である。

構成関係C

下位水準ですでに個体化されている構造項が、上位構造を具体的に実現する関係である。

個体化関係I

構造内部の差異的契機が、特定の位置・役割・同一性条件を持つ構造項として成立する関係である。

構成的同一性依存OD

ある構造項の同一性条件が、別の構造項の実在的な規定に構成的に依存する関係である。

本稿では、これらの定義を変更しない。

特に、K_D(S)およびB_D^α(S)が常に一意に決定されるとは仮定しない。異なる候補が残る場合には、各候補を区別し、それぞれの構造的境界について検証を行う。

また、第一論文における構造的遡及性は、構造成立以前の差異的契機が、その構造における構造項として確定することを意味していた。

本稿では、この構造的遡及性と、過去の履歴が構成的前史として確定する歴史的遡及性を区別しながら、同一の構造的存在論の内部に位置づける。

2.2.歴史的問題における構造の同一性

過去の履歴が後続構造にとって構成的であるかどうかを検討するためには、まず何の同一性を説明するのかを確定しなければならない。

例えば、ある組織が長期間存続している場合、その組織の同一性には複数の水準がある。

組織的同一性を問題にするのか、制度的同一性を問題にするのか、法的同一性を問題にするのかによって、過去のどの出来事が構成的な意味を持つかは異なる。

ある設立行為は法的同一性にとって重要であっても、組織的な活動の連続性にとっては必ずしも同じ意味を持たない場合がある。

また、ある規則の変更は制度的同一性を維持できる一方、法的には別個の制度への移行を意味する場合もある。

したがって、歴史的前史を判定する際にも、対象となる同一性水準Dを独立に指定しなければならない。

過去の履歴を特定するために、先に望ましい歴史を想定し、そこから都合のよい同一性水準を選ぶことはできない。

まず対象SとDを確定し、その同一性を実現する構造的不変項K_D(S)を、第一論文で示した判定基準に従って独立に特定する必要がある。

そのうえで、K_D(S)の成立に関係する過去の履歴を検討する。

2.3.構造的遡及性と歴史的遡及性

ここで、二つの遡及性の違いを改めて確認しておく。

第一論文の構造的遡及性は、構造成立以前の差異的契機が、構造の成立を通じて構造項として確定することを意味する。

これに対して、本稿の歴史的遡及性は、時間的に先行して実際に存在していた履歴が、後続構造との構成的依存関係によって、その構造の前史として資格を得ることを意味する。

両者には次の違いがある。

観点構造的遡及性歴史的遡及性
対象個体化以前の差異的契機実際に存在した過去の履歴
結果構造項としての成立構成的前史としての資格
基本関係I通時的な構成的依存
問題となる時間個体化以前の構造的条件構造成立以前の時間的履歴
説明対象構造内部の個体性後続構造の成立条件

第一論文では、構造成立によって差異的契機の構造的個体性が確定する。

第二論文では、後続構造が成立することによって、すでに実在していた履歴の構成的資格が確定する。

この二つを混同しないことが、本稿の出発点である。

3.通時的構成的依存の導入

3.1.基本前提A3

構造成立以前の履歴が後続構造の構成的前史となりうることを認めるためには、第一論文の存在論的前提に加えて、通時的な構成的依存可能性を認める必要がある。

本稿では、これを基本前提A3として導入する。

基本前提A3:通時的構成的依存可能性

ある時点t₁において成立する構造Sの構成的同一性条件は、その構造の成立以前の時間的履歴に属する出来事、過程および関係に構成的に依存しうる。

この依存は、単なる時間的先行性や因果的影響に還元されない。過去の履歴が、後続構造の構造的不変項K_D(S)を現実に成立させる構成的依存秩序に組み込まれている場合に成立しうる。

A3は、本稿が採用する独立した存在論的前提である。

それは、すべての過去の出来事が後続構造を構成するという主張ではない。また、あらゆる構造が必ず特定の過去の出来事に依存しているという主張でもない。

A3が認めるのは、過去の時間的履歴と後続構造のあいだに、構成的な依存関係が成立する可能性である。

この可能性を認めなければ、後続構造の成立条件を現在の内部関係だけに限定することになり、実際にその構造を形成した歴史的な構成条件を存在論的な説明から除外してしまう。

3.2.A3は時間的な逆因果を意味しない

A3について、最も重要なのは、その意味を逆因果と混同しないことである。

歴史的遡及性は、未来の構造が過去の出来事を発生させたり、過去の事実を変更したりすることを意味しない。

ある出来事hが時点t₀において実際に存在し、構造Sが時点t₁に成立したとする。

時間関係は、

t₀ < t₁

である。

構造Sが成立したことによって、hが過去に発生したという事実が変化するわけではない。

また、hが発生したとき、将来Sが成立することをあらかじめ知っていた必要もない。

重要なのは、Sが成立した後、その構造が持つ同一性条件を検討すると、過去のhがその構成的依存経路に属していることが明らかになる場合があるということである。

したがって、遡及的に確定するのは過去の出来事そのものではない。

過去の履歴が後続構造に対して持つ構成的な位置づけである。

この点で、歴史的遡及性は、時間的な逆因果とは異なる存在論的な関係を示している。

3.3.定義D13――通時的構成的関係→_c

第一論文の構成的関係Rᶜは、構造を成立させる関係の一般的な位置づけであった。

本稿では、過去の履歴と後続構造とのあいだに成立する構成的な接続を区別するため、通時的構成的関係→_cを導入する。

定義D13:通時的構成的関係→_c

通時的構成的関係→_cとは、過去の履歴に属する出来事、過程または関係が、時間的に後続する構造の構成的同一性条件を成立させる実際の依存経路に組み込まれている関係である。

基本表記は次のとおりである。

h →_c S

ここでhは、構造Sの成立以前に実際に存在していた歴史的な出来事、過程または関係を表す。

この関係は、単にhがSに影響したということを意味しない。hがSの構造的不変項を実現する構成的な依存秩序に組み込まれていることを意味する。

また、→_cは、第一論文のCと同一ではない。

Cは、下位水準ですでに個体化された構造項が上位構造を具体的に実現する関係である。それに対して→_cは、時間的に先行する履歴が後続構造の成立に構成的に関与する関係である。

両者は異なる関係の型を持つ。

さらに、→_cを因果関係に還元してはならない。因果的な連続性が構成的依存の実現経路に含まれる場合はあるが、因果的影響が存在することだけでは→_cの成立は証明されない。

3.4.構成的依存経路の時間的な広がり

構造Sの成立に関わる過去の履歴は、単一の出来事だけから構成されるとは限らない。

例えば、ある組織について考えると、設立合意、規則の形成、初期の意思決定、役割分担、構成員資格の設定など、複数の出来事が段階的に関係している場合がある。

その場合、後続構造は一つの出来事だけでなく、複数の出来事と関係の連鎖に依存している。

ここで重要なのは、それらの出来事が単に同じ過去の時間帯に属するということではない。それらの関係が、同一の構造的不変項K_D(S)を成立させる構成的経路に組み込まれていることである。

したがって、歴史的前史は、単純な時間的な集合ではなく、後続構造に対して構成的な意味を持つ出来事、過程および関係の秩序として理解される。

4.歴史的履歴の選別

4.1.定義D14――全履歴H(t₀)

後続構造の成立以前には、さまざまな出来事や過程が存在している。

しかし、そのすべてが後続構造にとって構成的であるわけではない。

そこで、まず構造Sが成立する以前の時間的履歴全体をH(t₀)として定義する。

定義D14:全履歴H(t₀)

H(t₀)とは、後続構造Sが成立する時点t₁に先立つ、時間的な範囲t₀に属する実際の出来事、過程および関係の総体である。

ここでt₀は、単一の瞬間を示すものではない。

構造Sが成立する以前の一定の時間的範囲を表す記号である。

したがって、

t₀ < t₁

という表記は、t₀が特定の一点としてt₁の直前に存在することを意味しない。t₀が、構造Sの成立以前に広がる時間的な範囲であることを示す。

H(t₀)には、後続構造に関係する出来事だけでなく、それとは無関係な出来事も含まれる。

例えば、ある組織が設立される以前に、同じ地域で別の組織の会合や個人の活動が行われていたとしても、それらが当該組織の同一性条件を成立させる構成的経路に属するとは限らない。

したがって、H(t₀)全体をそのまま構成的前史として扱うことはできない。

4.2.定義D15――選別された履歴H_{S,D}(t₀)

構成的前史を明らかにするためには、H(t₀)から、特定の構造Sと同一性水準Dに対して構成的に関連する履歴を選別する必要がある。

本稿では、この選別された履歴をH_{S,D}(t₀)とする。

定義D15:選別された履歴H_{S,D}(t₀)

H_{S,D}(t₀)とは、後続構造Sの同一性水準Dにおける構造的不変項K_D(S)を成立させる構成的経路に関係するものとして、五つの判定条件に従って選別された過去の履歴である。

その基本的な関係は次のとおりである。

H_{S,D}(t₀) ⊆ H(t₀)

H_{S,D}(t₀)は、全履歴H(t₀)の一部である。

この選別は、後続構造の同一性条件が独立に確定した後に行われなければならない。

先に特定の歴史的出来事を構成的前史としたいと考え、その出来事に適合するようにK_D(S)を設定することはできない。

正しい順序は、次のとおりである。

S・D → K_D(S) → B_D^α(S) → H_{S,D}(t₀)

この順序は、対象となる構造、同一性水準、構造的不変項および構造的閉包を先に確定したうえで、過去の履歴を選別することを示している。

ただし、最後の段階である閉包への包含は、履歴の選別だけでは保証されない。後述するP6で独立に証明する必要がある。

4.3.履歴の選別と構造的不変項の独立性

ここで、H_{S,D}(t₀)の選別が循環的にならないための条件を明確にしておく。

第一に、K_D(S)は、第一論文で示した独立した比較枠と五つの判定基準によって確定されなければならない。

第二に、B_D^α(S)は、K_D(S)を実現する最小完全な構成的依存の閉包として確定されなければならない。

第三に、H_{S,D}(t₀)の選別は、これらの結果から独立して、過去の出来事の実在、歴史的な関係、伝達経路および構成的役割を確認したうえで行われなければならない。

ここでいう独立とは、K_D(S)を参照しないという意味ではない。選別された履歴の構成的関連性を判定するためには、当然ながらK_D(S)が必要である。

問題は、選別の結果を先取りして、K_D(S)やB_D^α(S)を都合よく変更してはならないということである。

対象となる構造の同一性条件を独立に確定し、それに照らして履歴を評価することが必要である。

5.構成的前史としての資格を判定する五条件

5.1.五条件を導入する理由

過去の出来事が後続構造に対して構成的前史となるためには、単なる時間的先行性や因果的影響を超えた条件が必要である。

本稿では、履歴を構成的前史として選別するために、次の五条件を提示する。

これらは、選別された履歴が後続構造の構成的前史として検討されるための条件である。

ただし、五条件を満たすことだけでは、履歴が構造的閉包B_D^α(S)に実際に含まれることまで証明したことにはならない。この区別は後で改めて論じる。

5.2.条件H1――時間的先行性と実在性

第一条件は、対象となる履歴が実際に後続構造の成立以前に存在していたことである。

構成的前史に含まれる出来事や過程は、後続構造が成立する以前に実際に発生していなければならない。

仮想的な出来事、起こりえたが実際には起こらなかった出来事、後から作られた架空の履歴を、実際の構成的前史として扱うことはできない。

ただし、過去の出来事が後続構造の成立にどの程度関与したのかという判断は、後続構造の成立後に行われる場合がある。

これは、過去の出来事そのものの実在性と、その出来事に対する構成的な評価を区別することによって説明できる。

過去の出来事が実在していたという事実は変化しない。一方、その出来事が後続構造に対してどのような構成的意味を持っていたのかは、後続構造の同一性条件を確定した後に明らかになる場合がある。

したがって、H1が要求するのは、過去の履歴の実在と時間的先行性であって、その履歴が当初から将来の構造を目的として存在していたことではない。

5.3.条件H2――歴史的識別可能性

第二条件は、構成的前史として扱う履歴が、他の出来事や過程から識別できることである。

歴史的な出来事が実在していたとしても、その内容、関係、時期および構造形成における位置がまったく特定できないならば、それを構成的前史として扱うことはできない。

そのため、少なくとも次の点を確認する必要がある。

  1. 対象となる出来事や過程が何であるのか。
  2. それがどの時期に発生したのか。
  3. どのような関係や制度的・物質的条件を形成したのか。
  4. 後続構造とのあいだに、どのような連続性が存在するのか。

ここで要求されるのは、歴史的履歴の完全な再現ではない。

過去のあらゆる情報が残されている必要はないが、当該の履歴が後続構造に関係するものとして識別されるだけの根拠が必要である。

例えば、ある組織の設立合意が文書として残されている場合、その文書は歴史的履歴を確認するための重要な証拠となる。

一方、文書が存在しない場合でも、他の記録、物質的痕跡、制度の連続性、複数の独立した証拠などから履歴を確認できる場合はある。

したがって、H2は、特定の形式の証拠だけを要求するものではない。

5.4.条件H3――後続構造への連続的な伝達

第三条件は、過去の履歴と後続構造のあいだに、構成的な連続性が存在することである。

過去の出来事が実際に発生し、後続構造とのあいだに時間的な先行関係があったとしても、それだけでは構成的前史とは言えない。

重要なのは、その出来事によって形成された規則、権限、関係、物質的条件または制度的条件が、後続構造の成立に至る経路に組み込まれていることである。

例えば、ある組織の設立時に採択された規則が、その後の改訂を経ながらも、現在の意思決定秩序に引き継がれているとする。

この場合、最初の規則と現在の意思決定秩序とのあいだには、単なる時間的な連続性を超えた制度的な伝達関係が存在する。

ただし、この連続性は、過去の形態がそのまま現在まで保存されていることを意味しない。

途中で変更、再編成、修正、継承が行われてもよい。重要なのは、過去の履歴が担った構成的な役割が、何らかの形で後続構造の成立に接続されていることである。

そのため、H3は、形態の完全な保存ではなく、構成的な関係または役割の伝達を要求する。

5.5.条件H4――構造的不変項に対する構成的関連性

第四条件は、過去の履歴が後続構造の構造的不変項K_D(S)に対して、実際の構成的関連性を持つことである。

これは、五条件の中で最も重要な条件の一つである。

ある出来事が後続構造の成立に因果的な影響を与えたとしても、その出来事が対象となる同一性条件を成立させる構成的な役割を担っていないならば、それを構成的前史として認めることはできない。

例えば、ある組織の設立者が個人的な理由によって設立を決断したとしても、その個人的理由が組織の制度的同一性を成立させる規則や権限秩序に組み込まれていない場合には、その理由は組織の構成的前史とは異なる背景条件である可能性がある。

これに対して、設立時に形成された意思決定規則が、その後の組織の権限秩序を成立させる条件として引き継がれているならば、その規則形成は構成的な意味を持つ。

したがって、H4では次の問いを検討する。

  • 履歴のどの要素がK_D(S)のどの制約に関係しているのか。
  • その関係は単なる因果的影響なのか、それとも構成的な実現関係なのか。
  • その履歴が担った役割は、後続構造の同一性条件の成立にどのように接続されているのか。

ここでは、K_D(S)を履歴の選別に都合よく変更してはならない。

構造的不変項は、歴史的履歴の選別に先立って独立に確定されていなければならない。

5.6.条件H5――出来事の代替可能性と構成的役割の必要性の区別

第五条件は、歴史的な出来事そのものの代替可能性と、その出来事が担った構成的役割の必要性を区別することである。

この区別は、本稿にとって特に重要である。

ある出来事が後続構造の成立に関与していたとしても、その出来事が唯一可能な出来事だったとは限らない。

例えば、ある組織を成立させた特定の会合が存在していたとしても、別の日時に別の会合が開催され、同じ規則や権限秩序が形成されていた可能性はある。

この場合、特定の会合そのものは代替可能である。

しかし、その会合が担っていた意思決定や規則形成という構成的役割は、何らかの形で実現されなければならなかった可能性がある。

したがって、次の二つを区別しなければならない。

第一に、特定の歴史的出来事が、それ自体として代替不可能だったかどうか。

第二に、その出来事が担っていた構成的役割が、後続構造の成立において必要だったかどうか。

この二つは同じではない。

構成的役割に代替経路が存在することは、実際にその役割を担った歴史的出来事の構成的意味を否定するものではない。

ただし、その出来事が唯一の必要な前史だったと主張することもできない。

本稿では、歴史的資格を、その出来事が実際に成立させた構成的経路に相対的なものとして理解する。

したがって、H5では次の点を確認する。

  1. 当該の出来事が実際に担った構成的役割は何か。
  2. その役割は後続構造の同一性条件にどのように関与したか。
  3. 同じ役割を担う代替経路が存在したか。
  4. 代替経路が存在する場合、それは実際の履歴の構成的意味を否定するものか、それとも別の可能な構成経路を示すものか。

ここで重要なのは、個別の出来事の代替可能性と、その出来事が実現した構成的役割の必要性を区別することである。

ある出来事が代替可能であっても、その出来事が実際に担った役割は、後続構造の成立に対して構成的な意味を持ちうる。

ただし、その場合に認められるのは、実際に成立した経路における構成的資格であり、当該出来事があらゆる可能世界において不可欠だったという意味での絶対的な必要性ではない。

5.7.五条件の統合

以上の五条件を整理すると、次のようになる。

条件名称判定内容
H1時間的先行性と実在性実際に発生した過去の出来事であること
H2歴史的識別可能性出来事・過程・関係を具体的に識別できること
H3連続的な伝達過去の構成的役割が後続構造へ接続されていること
H4構成的関連性K_D(S)を実現する構成的経路に関係すること
H5代替可能性の区別出来事の代替可能性と役割の必要性を混同しないこと

これらの条件は、履歴が後続構造の構成的前史となる候補を選別するために必要となる。

ただし、五条件を満たしたことだけで、その履歴が最小完全な構造的閉包に実際に包含されていることが証明されたわけではない。

この点を次節で検討する。

6.五条件の論証と構成的前史の選別

6.1.五条件の相互関係

五条件は、それぞれ異なる問題を扱っている。

H1は、過去の履歴が実際に存在していたことを確認する。

H2は、その履歴を他の出来事から識別できることを確認する。

H3は、履歴と後続構造とのあいだに、構成的な連続性が存在することを確認する。

H4は、その連続性が後続構造の同一性条件に対する構成的関連性を持つことを確認する。

H5は、個別の出来事の不可欠性を過度に要求することを避けつつ、その出来事が担った構成的役割を明らかにする。

五条件をすべて満たさなければならないのは、どれか一つの条件だけでは、歴史的な履歴の構成的資格を十分に区別できないからである。

例えば、H1だけを満たす場合、時間的に先行したというだけで、あらゆる出来事を構成的前史として扱うことになってしまう。

H2だけでは、出来事を識別できても、その出来事が後続構造に関係しているとは限らない。

H3だけでは、何らかの連続性があっても、それが同一性条件の成立に関係しているとは限らない。

H4だけでは、実際の履歴がどのように伝達されたのかが不明確な場合がある。

H5だけでは、過去の出来事が実際に構成的な経路に参加していたことを示せない。

したがって、五条件は、互いに異なる欠落を補うための条件として機能する。

6.2.命題P4――歴史的遡及性の可能性

命題P4

基本前提A3が成立する場合、時間的に先行する過去の履歴は、後続構造の構造的不変項を成立させる構成的依存秩序に組み込まれ、当該構造の構成的前史として資格を得る可能性を持つ。

前提

  • 基本前提A1・A2:前個体的差異場Δと、その内部にある差異的規定可能性。
  • 個体化根拠充足原理G。
  • 基本前提A3:通時的構成的依存可能性。
  • 第一論文で定義された構造S、同一性水準D、K_D(S)およびB_D^α(S)。

使用する定義

  • D13:通時的構成的関係→_c。
  • D14:全履歴H(t₀)。

証明

A3によれば、後続構造Sの構成的同一性条件は、構造成立以前の時間的履歴に属する出来事、過程および関係に構成的に依存しうる。

したがって、過去の履歴と後続構造のあいだには、単なる時間的先行性を超えた構成的依存関係が成立する可能性がある。

この依存関係が成立する場合、過去の履歴hは、後続構造Sの同一性条件を実現する構成的経路に組み込まれる。

その関係は、

h →_c S

と表される。

このとき、hは単に過去に発生した出来事ではなく、後続構造の成立に構成的に関与する履歴となる。

また、A3は、過去の履歴がすべて後続構造の構成的前史になると主張するものではない。構成的資格を得るためには、後述する五条件と構造的閉包への包含が必要である。

したがって、A3のもとでは、時間的に先行する履歴が後続構造の構成的前史として資格を得る可能性が存在する。

ゆえに命題P4が成立する。□

命題の限定

P4が示すのは、歴史的遡及性が成立する可能性である。

具体的な履歴が実際に構成的前史としての資格を得たことまでは証明していない。そのためには、五条件の充足と構造的閉包への実際の包含が必要となる。

また、A3は独立した存在論的前提であり、第一論文のGから演繹されたものではない。

6.3.命題P5――五条件を満たす履歴の選別可能性

命題P5

過去の履歴H(t₀)に属する出来事、過程および関係について、時間的先行性と実在性、歴史的識別可能性、後続構造への連続的伝達、構造的不変項に対する構成的関連性、出来事の代替可能性と構成的役割の区別という五条件を独立に確認できる場合、その履歴は後続構造Sの構成的前史の候補H_{S,D}(t₀)として選別できる。

前提

  • 命題P4:通時的構成的依存の可能性。
  • K_D(S)が独立した比較枠によって確定されていること。
  • B_D^α(S)がK_D(S)を実現する最小完全な閉包として独立に確定されていること。
  • 履歴の実在と内容を確認できる証拠が存在すること。

使用する定義

  • D14:全履歴H(t₀)。
  • D15:選別された履歴H_{S,D}(t₀)。
  • D13:通時的構成的関係→_c。

証明

H1によって、対象となる出来事が構造Sの成立以前に実際に存在したことが確認される。

H2によって、その出来事や過程を他の履歴から識別できることが確認される。

H3によって、その出来事が形成した規則、関係、制度または物質的条件が、後続構造に伝達されていることが確認される。

H4によって、その伝達された内容が、対象となる構造的不変項K_D(S)の成立に構成的に関係していることが確認される。

H5によって、個別の出来事の代替可能性と、その出来事が実現した構成的役割の必要性が区別される。

以上の条件が満たされるとき、その履歴は、単なる時間的背景や偶然的な因果的条件から区別される。

したがって、当該の履歴を、後続構造Sと同一性水準Dに関係する構成的前史の候補として選別することができる。

この選別は、

H_{S,D}(t₀) ⊆ H(t₀)

として表される。

ただし、ここで確認されたのは、五条件を満たす履歴が構成的前史の候補として選別されることだけである。その履歴が構造的閉包B_D^α(S)に実際に含まれることは、まだ証明されていない。

ゆえに命題P5が成立する。□

命題の限定

P5は、五条件を満たす履歴を構成的前史の候補として選別できることを示す。

しかし、候補として選別されたことと、後続構造の最小完全な構成的依存閉包に実際に含まれることは別である。

この区別を維持しなければ、五条件の充足だけで歴史的資格を認めることになり、構造的境界の独立した証明が不要になってしまう。

したがって、P5だけから歴史的資格Qを導くことはできない。

6.4.命題P6――選別された履歴の構造的閉包への実際の包含

命題P6

五条件を満たして選別された履歴H_{S,D}(t₀)が、後続構造Sについて独立に確定された同一の構造的閉包B_D^α(S)に実際に包含されていることが確認される場合、その履歴は当該構造の構成的依存秩序の一部として認められる。

前提

  • 命題P5:五条件を満たす履歴H_{S,D}(t₀)が選別されていること。
  • K_D(S)が独立した比較枠によって確定していること。
  • B_D^α(S)が、K_D(S)を実現する最小完全な閉包として独立に確定していること。
  • 履歴と後続構造とのあいだに、実際の通時的構成的経路が確認されていること。

使用する定義

  • D7:構造的境界B_D^α(S)。
  • D15:選別された履歴H_{S,D}(t₀)。
  • D13:通時的構成的関係→_c。

証明

P5によって、五条件を満たす履歴H_{S,D}(t₀)が選別されている。

しかし、その履歴が構成的前史の候補であるということは、まだ、当該履歴が後続構造の同一性を実現するために必要な構成的閉包に属していることを意味しない。

この点を確認するためには、第一論文で確定した構造的境界B_D^α(S)を用いる必要がある。

B_D^α(S)は、K_D(S)を実現するために必要な構造的契機、構成要素および構成的関係を含む最小完全な閉包である。

したがって、選別された履歴が実際にB_D^α(S)の内部に含まれているならば、その履歴は構造Sの同一性を実現する構成的依存秩序の一部である。

この包含は、

H_{S,D}(t₀) ⊆ B_D^α(S)

と表される。

重要なのは、この包含を成立させるために、履歴に合わせてB_D^α(S)を事後的に拡張してはならないことである。

構造的境界は、K_D(S)を実現する最小完全な閉包として、履歴の選別とは独立に確定されていなければならない。

そのうえで、選別された履歴がその閉包の内部に実際に位置していることを示す必要がある。

この確認は、単に履歴と構造が関係していると述べることによっては成立しない。

具体的には、次のことを示す必要がある。

  1. 選別された履歴のどの要素がB_D^α(S)に含まれるのか。
  2. その履歴がどの構成的関係を通じて後続構造に接続されるのか。
  3. その関係がK_D(S)のどの制約を実現しているのか。
  4. 当該履歴を含めるためにB_D^α(S)の境界を変更していないこと。
  5. 代替経路が存在する場合、その経路と実際に成立した経路を区別していること。

以上が確認されるならば、選別された履歴は、後続構造の最小完全な構成的依存閉包に実際に含まれる。

ゆえに命題P6が成立する。□

命題の限定

P6は、すべての構造について、選別された履歴が自動的にB_D^α(S)に含まれると主張するものではない。

その包含は、個別の構造と履歴について独立に確認されなければならない。

五条件を満たしていても、構造的境界への実際の包含が確認できない場合、その履歴は構成的前史の候補にとどまり、歴史的資格Qが確定したとは言えない。

この点が、P5とP6の最も重要な違いである。

7.歴史的資格と歴史的第一性

7.1.定義D16――歴史的資格Q

ここまでの議論によって、過去の履歴が後続構造の構成的前史としての資格を得る条件が明らかになった。

本稿では、この資格を歴史的資格Qと呼ぶ。

定義D16:歴史的資格Q

歴史的資格Qとは、構造Sの成立以前に実際に存在した履歴H_{S,D}(t₀)が、五条件によって選別され、後続構造の構造的不変項K_D(S)を実現する同一の構造的閉包B_D^α(S)に実際に包含されることによって、その構造の構成的前史として認められる資格である。

基本表記は次のとおりである。

Q_{S,D}(H_{S,D}(t₀), t₁)

この表記は、選別された履歴H_{S,D}(t₀)が、時点t₁に成立した構造Sに対して、同一性水準Dにおける構成的前史としての資格を持つことを表す。

Qは、過去の履歴に最初から備わっている絶対的な性質ではない。

同じ履歴であっても、異なる構造や異なる同一性水準に対しては、異なる構成的意味を持つ場合がある。

例えば、ある規則形成の履歴は、組織的同一性にとって構成的な前史であっても、法的同一性の水準では別の規則や制度的事実が決定的な役割を持つ場合がある。

したがって、Qは構造Sと同一性水準Dに相対的な資格である。

また、Qの対象は、全履歴H(t₀)ではなく、五条件によって選別された履歴H_{S,D}(t₀)である。

この点を曖昧にしてはならない。

7.2.歴史的資格が示すもの

歴史的資格Qが成立したということは、過去の履歴が、後続構造の単なる時間的背景ではないことを意味する。

その履歴は、後続構造の同一性条件を実現する構成的依存秩序に含まれている。

しかし、Qが成立しても、過去の履歴が唯一の可能な構成経路であったことまでは意味しない。

また、Qは、履歴全体のあらゆる出来事が等しく重要であることも意味しない。

資格を持つのは、五条件によって選別され、同一の構造的閉包に包含された履歴である。

したがって、Qは、過去をすべて後続構造に従属させる概念ではない。過去の実在性と固有の経過を維持したまま、その一部が特定の後続構造に対して持つ構成的な位置を明らかにする概念である。

7.3.歴史的資格と歴史的第一性の区別

ここで、特に重要な問題がある。

過去の履歴が後続構造に対して構成的資格Qを持つならば、その履歴は歴史的に第一のものとなるのだろうか。

本稿は、この二つを区別する。

歴史的資格Qが示すのは、過去の履歴が後続構造の構成的前史として成立していることである。

しかし、そこから履歴内部の第一性が自動的に導かれるわけではない。

例えば、ある組織の設立過程に、複数の出来事が存在していたとする。

それらの出来事がすべて構成的前史として認められたとしても、それらが互いに対してどのような優先関係を持つかは、別に検討しなければならない。

ある規則の形成が別の規則の成立条件を決定している場合もあれば、複数の出来事が相互に依存している場合もある。また、複数の出来事が別々の規定次元を担っている場合もある。

したがって、Qは、歴史的前史の資格を示すものであり、歴史内部の第一性を直接決定するものではない。

7.4.歴史内部の第一性とOD

歴史的第一性を検討するためには、第一論文で定義した構成的同一性依存ODを改めて適用する必要がある。

ただし、その対象は、歴史的な出来事や履歴のうち、構造的な同一性条件を担う出来事、過程または制度的役割でなければならない。

例えば、hAを特定の意思決定秩序の成立、hBをその秩序に依存する後続の制度的規定とする。

hBが歴史的な同一性を持つための条件がhAの規定に依存し、逆方向の依存が成立しないならば、次の関係を認めることができる。

OD_{S,D,d}(h_B,h_A)

¬OD_{S,D,d}(h_A,h_B)

この場合、構成的優先性の橋渡し原理によって、

h_A ≺_{S,D,d} h_B

が導かれる。

ここでいう第一性は、hAが時間的にhBより先に発生したということだけを意味しない。

hAの構成的な規定が、hBの同一性条件を成立させており、同じ規定次元における逆方向の依存が成立していないということである。

そのため、歴史的第一性は、単なる年代順序に還元されない。

また、ODが対称的である場合や、単なる因果的な影響しか認められない場合には、歴史的第一性は成立しない。

7.5.歴史的第一性の射程

歴史的第一性についても、第一論文で示した制約が維持されなければならない。

第一に、第一性は特定の構造Sに相対的である。

第二に、第一性は特定の同一性水準Dに相対的である。

第三に、第一性は特定の規定次元dに相対的である。

第四に、ODの実在と非対称性を独立に確認しなければならない。

第五に、Qから第一性を自動的に導いてはならない。

例えば、ある規則形成が組織の制度的同一性に対して第一であるとしても、それが組織の物質的な存続に対しても第一であるとは限らない。

また、ある過去の出来事が後続構造の成立に構成的に関与していたとしても、他の履歴に対して優先しているとは限らない。

したがって、歴史的第一性も、第一論文と同様に、構造、同一性水準および規定次元に相対的な存在論的関係として理解されなければならない。

8.命題と定理

8.1.命題P4――歴史的遡及性の可能性

P4は、基本前提A3のもとで、過去の履歴が後続構造に対する構成的前史として資格を得る可能性を示した。

この段階では、具体的な履歴の資格はまだ確定していない。

P4の役割は、時間的に先行する履歴と後続構造とのあいだに、構成的な依存関係が成立する可能性を認めることである。

8.2.命題P5――歴史的履歴の選別

P5は、五条件を通じて、過去の履歴から構成的前史の候補を選別できることを示した。

ここで得られるのは、H_{S,D}(t₀)という選別された履歴である。

ただし、その履歴が構造的閉包に実際に含まれることは、まだ証明されていない。

8.3.命題P6――閉包包含の確認

P6は、選別された履歴が、構造的不変項K_D(S)を実現する同一の構造的閉包B_D^α(S)に実際に含まれることを確認した。

この包含が成立して初めて、当該履歴を後続構造の構成的依存秩序の一部として認めることができる。

したがって、P5とP6は、異なる証明課題を担っている。

8.4.定理T2――歴史的前史の構成的資格と遡及的成立

以上の命題を統合すると、本稿の中心定理が成立する。

定理T2:歴史的前史の構成的資格と遡及的成立定理

基本前提A1・A2、個体化根拠充足原理G、および通時的構成的依存可能性A3を採用する。

構造Sの同一性水準Dにおける構造的不変項K_D(S)と、これを実現する採用された構造的閉包B_D^α(S)が、過去の履歴から独立した基準によって確定されているとする。

このとき、構造Sの成立以前の時間的履歴H(t₀)に属する出来事、過程および関係について、次の五条件が満たされるならば、それらを構成的前史の候補H_{S,D}(t₀)として選別することができる。

  1. 時間的先行性と実在性。
  2. 歴史的識別可能性。
  3. 後続構造への連続的な伝達。
  4. 構造的不変項K_D(S)に対する構成的関連性。
  5. 個別の出来事の代替可能性と、その出来事が担う構成的役割の必要性の区別。

さらに、選別された履歴H_{S,D}(t₀)が、履歴に合わせて事後的に拡張されていない同一の構造的閉包B_D^α(S)に実際に包含されているならば、その履歴は時点t₁に成立した構造Sの、同一性水準Dにおける構成的前史としての資格を得る。

すなわち、

Q_{S,D}(H_{S,D}(t₀), t₁)

が成立する。

証明

まず、A3によって、後続構造Sの構成的同一性条件が、その構造成立以前の時間的履歴に依存しうることが認められる。

したがって、過去の履歴と後続構造とのあいだには、単なる時間的先行性や因果的影響とは異なる通時的構成的関係が成立する可能性がある。

次に、構造Sの同一性を説明するため、第一論文の基準に従って対象となる同一性水準Dと構造的不変項K_D(S)を確定する。

さらに、その不変項を実現する最小完全な構成的閉包として、B_D^α(S)を独立に確定する。

K_D(S)とB_D^α(S)は、歴史的履歴の選別や第一性の結論から逆算されてはならない。これらは、対象となる構造と同一性水準に基づいて確定される。

そのうえで、構造Sが成立する以前の時間的履歴H(t₀)について検討する。

第一に、H1によって、対象となる履歴が実際に構造Sの成立以前に存在していたことを確認する。

第二に、H2によって、その履歴が他の過去の出来事や過程から識別可能であることを確認する。

第三に、H3によって、その履歴が形成した規則、関係、制度的条件または物質的条件が、後続構造に連続的に伝達されていることを確認する。

第四に、H4によって、その履歴が構造的不変項K_D(S)を実現する構成的経路に関係していることを確認する。

第五に、H5によって、個別の出来事の代替可能性と、その出来事が担う構成的役割の必要性を区別する。

以上の条件が満たされる場合、H(t₀)のうち、後続構造に構成的に関連する履歴を選別することができる。

H_{S,D}(t₀) ⊆ H(t₀)

しかし、これだけでは、選別された履歴が実際に構造Sの構成的依存閉包に含まれることは証明されない。

そこでP6に従い、選別された履歴と構造的境界B_D^α(S)との関係を確認する。

B_D^α(S)は、K_D(S)を実現するための最小完全な閉包として、履歴の選別とは独立に確定されている。

そのため、選別された履歴が実際にこの閉包に包含されるならば、その履歴は構造Sの構成的依存秩序の一部であることが示される。

すなわち、

H_{S,D}(t₀) ⊆ B_D^α(S)

が成立する。

この包含が確認された場合、五条件によって選別された履歴は、単なる歴史的背景や因果的条件ではない。構造Sの同一性条件を実現する構成的前史として認められる。

したがって、

Q_{S,D}(H_{S,D}(t₀), t₁)

が成立する。

以上によって、過去の履歴が後続構造に対して構成的前史としての資格を得る条件が示された。

ゆえに定理T2が成立する。□

定理の限定

T2は、すべての過去の履歴が後続構造の構成的前史となることを主張するものではない。

また、五条件を満たすことだけでは、Qの成立を結論することはできない。構造的境界への実際の包含が独立に確認されなければならない。

さらに、Qから歴史的第一性が自動的に導かれるわけでもない。

歴史内部における第一性を主張する場合には、ODの実在と非対称性を別途確認しなければならない。

したがって、T2は、A3、五条件、独立に確定された構造的閉包、および実際の包含を前提とする条件付き定理である。

9.二本の論文の統合――構造的個体化と歴史的遡及性

9.1.二つの遡及性の共通基盤

第一論文は、構造内部の差異的契機が構造項として個体化されることを説明した。

第二論文は、構造成立以前の履歴が、後続構造に対して構成的前史として資格を得ることを説明した。

両者は異なる問題を扱っているが、共通する存在論的基礎を持っている。

それは、個体性や同一性を構造から独立したものとして最初から措定するのではなく、構成的な関係秩序によって成立するものとして理解することである。

第一論文では、差異的契機mᵢが構造Sにおいて構造項xᵢとして成立する。

第二論文では、過去の履歴H_{S,D}(t₀)が、後続構造Sの構成的前史として資格を得る。

この二つは同じ現象ではない。

しかし、いずれも構造SとK_D(S)を基準として、ある契機の存在論的な位置づけが確定するという共通性を持つ。

9.2.統合に必要な問題

ただし、二つの論文が同じ構造的基盤を用いているというだけでは、一つの存在論体系として統合されたことにはならない。

第一論文のC、I、ODと、第二論文の→_cは、異なる型の関係である。

また、第一論文の構造項と、第二論文の時間的な履歴は、同一の存在論的対象ではない。

したがって、これらをすべて一つの関係に還元することはできない。

必要なのは、各関係の型を維持したまま、それらが同じ構成的依存秩序にどのように接続されるのかを示すことである。

このため、本稿では、二本の論文を統一するための三つの接続条件B1・B2・B3を導入する。

9.3.接続条件B1――共通の構造的不変項

B1:共通の構造的不変項

第一論文と第二論文が、同一の構造S、同一性水準D、同一の構造的不変項K_D(S)および採用された同一の構造的閉包B_D^α(S)を共有していること。

この条件は、両論文が別々の構造や同一性基準を用いていないことを確認する。

第一論文で個体化や第一性を説明した構造と、第二論文で過去の履歴を選別した構造が異なるならば、両者の結論を直接統合することはできない。

同様に、第一論文と第二論文でK_D(S)の候補が異なる場合にも、両者の接続は保証されない。

したがって、B1では、構造・同一性水準・不変項・閉包の同一性を明示的に確認する必要がある。

K_D(S)やB_D^α(S)に実質的に異なる複数の候補が残る場合には、同一候補を両論文で共有するか、候補ごとに統合証明を行わなければならない。

9.4.接続条件B2――異なる型の関係を結ぶ構成的依存秩序

B2:構成的依存秩序の接続

第一論文のRᶜ、C、I、ODと、第二論文の→_cが、それぞれの関係の型を維持したまま、同一の構造的不変項K_D(S)を実現する構成的依存ネットワークに接続されていること。

ここで、各関係を同一のものに還元してはならない。

Rᶜは、差異的契機を構造として組織化する構成的関係である。

Cは、下位水準ですでに個体化された項が上位構造を実現する関係である。

Iは、構造内部の差異的契機を構造項として個体化する関係である。

ODは、構造項の同一性条件のあいだに成立する構成的依存関係である。

→_cは、過去の履歴が後続構造の構成的同一性条件を実現する経路に組み込まれる関係である。

したがって、これらの関係は同一の型ではない。

しかし、関係の型が異なることは、共通の構成的依存秩序に属することを妨げない。

例えば、ある組織の成立過程を考える。

まず、設立時の合意や規則形成が時間的な履歴として存在する。

次に、それらの履歴が意思決定秩序や権限秩序の成立に関与する。

その構成的な秩序が、上位構造における総会や会計担当職などの構造項を規定する。

さらに、それらの構造項のあいだには、総会の制度的な権限と会計担当職の制度的な役割のように、非対称的なODが成立する場合がある。

このように、

過去の履歴 →_c 後続構造の成立条件

Rᶜ → 構造S

I(S, mᵢ → xᵢ)

OD_{S,D,d}(B,A)

という異なる関係が、同一のK_D(S)を実現する構成的依存ネットワークに接続される。

ここで重要なのは、すべてを同一の矢印に還元することではない。

異なる関係の型が、それぞれの役割を維持しながら、同じ構造的不変項を実現する秩序を形成していることである。

9.5.接続条件B3――選別された履歴の同一閉包への実際の包含

B3:選別された履歴の実際の閉包包含

第二論文で選別された履歴H_{S,D}(t₀)が、第一論文と第二論文で共有する同一の構造的閉包B_D^α(S)に実際に含まれていること。

この条件は、両論文の接続において特に重要である。

第二論文で五条件を満たした履歴が存在したとしても、その履歴が第一論文で確定した構造的閉包に含まれなければ、同じ構造的依存秩序の一部であるとは言えない。

そのため、B3では次の包含を確認する必要がある。

H_{S,D}(t₀) ⊆ B_D^α(S)

この包含は、第一論文と第二論文で同一の閉包を用いることを前提とする。

また、履歴の選別に都合のよいように閉包を拡張してはならない。

B_D^α(S)は、K_D(S)を実現する最小完全な閉包として独立に確定され、その内部に履歴が実際に含まれていることを確認しなければならない。

この条件によって、歴史的な履歴が構造全体の同一性条件に対して持つ構成的な位置を示すことができる。

9.6.統一定理T3――構成的依存秩序の領域横断的統一

以上の三条件によって、第一論文と第二論文を一つの存在論体系として統合することができる。

統一定理T3:構成的依存秩序の領域横断的統一定理

第一論文T1と第二論文T2の成立条件が満たされ、第一論文と第二論文が同一の構造S、同一性水準D、構造的不変項K_D(S)および採用された構造的閉包B_D^α(S)を共有するとする。

さらに、次の三条件が満たされるとする。

B1:共通する構造的不変項と構造的閉包が独立に確定されていること。

B2:Rᶜ、C、I、ODおよび→_cという異なる型の関係が、それぞれの性質を維持したまま、同一の構造的不変項K_D(S)を実現する構成的依存ネットワークに接続されていること。

B3:選別された過去履歴H_{S,D}(t₀)が、第一論文と第二論文で共有する同一の構造的閉包B_D^α(S)に実際に包含されていること。

このとき、構造内部における差異的契機の個体化と、条件を満たす場合の構造内部の第一性、および過去の履歴が後続構造に対して持つ構成的資格Qは、同一の構成的依存秩序の異なる領域として統一的に説明される。

ただし、歴史的資格Qから歴史内部の第一性が自動的に導かれるわけではない。歴史内部の第一性を主張するためには、ODの実在と非対称性が独立に確認されなければならない。

証明

まず、B1によって、第一論文と第二論文が同じ構造S、同じ同一性水準D、同じ構造的不変項K_D(S)および同じ構造的閉包B_D^α(S)を共有していることが確認される。

これによって、第一論文で個体化の条件を説明した構造と、第二論文で履歴の構成的資格を説明した構造が、同一の対象として確定される。

次に、第一論文T1によって、構造Sの内部では、条件を満たす差異的契機が構造項として個体化され、ODの非対称性が確認される場合には構造相対的な第一性が成立する。

他方、第二論文T2によって、過去の履歴H_{S,D}(t₀)は、五条件を満たし、同一の構造的閉包B_D^α(S)に実際に包含される場合に、構造Sに対する構成的前史としての資格Qを得る。

したがって、第一論文は構造内部の個体化と第一性を説明し、第二論文は同じ構造の成立に関わる過去の履歴の構成的資格を説明する。

しかし、これらの結果を単に並べるだけでは、両者の構成的な接続はまだ示されていない。

そこでB2を適用する。

Rᶜは構造を組織化し、Cは異なる構造水準の具体的な構成を示し、Iは内部契機の個体化を示し、ODは構造項間の非対称的な同一性依存を示す。他方、→_cは過去の履歴と後続構造との通時的な構成的接続を示す。

これらは異なる関係の型を持つが、同じK_D(S)を実現するネットワークに接続されている。

したがって、異なる時間的領域と構造的領域を、一つの構成的依存秩序の内部に位置づけることが可能となる。

さらにB3によって、選別された過去履歴H_{S,D}(t₀)が、第一論文と第二論文で共有する同一の構造的閉包B_D^α(S)に実際に含まれていることが確認される。

これによって、過去の履歴は、単に構造に関連する外的な背景ではなく、当該構造の同一性条件を実現する構成的依存秩序の一部であることが示される。

以上によって、構造内部の個体化・第一性と、過去の履歴の構成的資格は、同一の構成的依存秩序の異なる領域に位置づけられる。

ただし、第二論文のQは、過去の履歴が構成的前史として資格を持つことを示すだけであり、履歴内部のODの非対称性を証明するものではない。

したがって、歴史的第一性を主張するためには、歴史内部の構造項または構成的役割のあいだに、ODの独立した非対称性が成立することを別途確認しなければならない。

ゆえに統一定理T3が成立する。□

定理の射程

T3は、第一論文と第二論文の結論を一つの同じ現象に還元するものではない。

構造的個体化と歴史的資格は、異なる対象と関係を扱っている。

T3が示すのは、両者が同じ構造的不変項と同じ構成的依存秩序に基づいて説明できるということである。

したがって、第一論文と第二論文は独立した問題設定と証明を持つ二本の論文でありながら、一つの構造的個体化存在論を構成する。

10.想定される反論と応答

10.1.過去はすでに確定しているのだから、遡及的な資格など必要ないのではないか

第一の反論は、過去の出来事はすでに確定しているのであり、後続構造によって過去の意味を遡及的に確定する必要はないのではないかというものである。

この反論は、歴史的遡及性を過去の事実の変更として理解した場合には妥当である。

しかし、本稿は、過去の出来事が後から発生したり、過去の事実が変更されたりすると主張していない。

過去の出来事が実際に存在していたという事実は維持される。

問題となるのは、その出来事が後続構造の構成的同一性条件に対してどのような位置を占めているかである。

ある出来事が実際に発生していても、その時点では将来成立する構造の同一性条件はまだ確定していない場合がある。その後、構造が成立し、その不変項が独立に特定されることで、過去の出来事の構成的な位置が明らかになることがある。

したがって、遡及的に確定するのは過去の事実ではなく、後続構造に対する過去の履歴の構成的資格である。

10.2.歴史的な構成的依存は、結局、因果的依存ではないのか

第二の反論は、過去の出来事が後続構造に影響を与えるのであれば、それは因果的依存によって十分に説明できるのではないかというものである。

この反論に対しては、因果的依存と構成的依存の説明対象の違いを確認する必要がある。

因果的依存は、ある出来事が別の出来事の発生に影響したことを示す。

しかし、ある出来事が後続構造の同一性条件をどのように成立させているのかという問題は、因果的な連続性だけでは説明できない場合がある。

例えば、ある組織の設立者の行動が組織設立のきっかけになったとしても、その人物が組織の同一性を構成する制度的条件を担っているとは限らない。

これに対して、設立時の規則形成が後続の権限秩序を実際に成立させている場合、その規則形成は構成的な意味を持つ。

したがって、因果的依存が構成的依存の成立経路に含まれることはありうるが、両者は同一ではない。

本稿の→_cは、後続構造の同一性条件を実現する構成的経路として確認される場合に限られる。

10.3.A3は恣意的な前提ではないか

第三の反論は、過去の履歴が後続構造に構成的に依存する可能性を認めるA3が、恣意的な前提ではないかというものである。

これに対しては、A3の論理的な役割を明確にする必要がある。

A3は、具体的な履歴が構成的前史であることをあらかじめ証明する前提ではない。

A3が認めるのは、そのような関係が存在論的に成立しうるという可能性である。

実際に特定の履歴が構成的前史としての資格を持つためには、五条件、独立した閉包判定および実際の包含が必要になる。

したがって、A3だけからQを導くことはできない。

また、A3の正当化を第一論文のGから演繹したと主張することもできない。A3は、本稿が歴史的遡及性を説明するために採用する独立した存在論的前提である。

その妥当性は、構造の成立条件を時間的な履歴にまで拡張して説明する立場を採用することによって評価される。

10.4.五条件は恣意的な選別基準ではないか

第四の反論は、五条件を設定することで、分析者が都合のよい履歴だけを選別できるのではないかというものである。

この問題に対しては、K_D(S)とB_D^α(S)を履歴の選別から独立に確定することが重要になる。

過去の履歴を構成的前史として認めるために、後から不変項の内容を変更してはならない。

まず、何の同一性を説明するのかを指定し、その対象に必要な構成的制約を独立した基準で判定する。

そのうえで、過去の出来事が実際にその構成的制約の成立に関与していたかどうかを検討する。

五条件は、この検討を異なる側面から行うための判定基準である。

さらに、五条件を満たしていても、構造的閉包への包含が確認されなければQを認めない。

したがって、本稿は、五条件を満たしたことだけで構成的資格を無条件に認めるわけではない。

10.5.特定の出来事が代替可能ならば、構成的前史とは言えないのではないか

第五の反論は、特定の過去の出来事が別の出来事によって代替可能であるならば、その出来事を後続構造の構成的前史として認めることはできないのではないかというものである。

この反論は、個別の出来事と、その出来事が担った構成的役割を混同している。

例えば、ある組織の設立時に開かれた会合が別の会合に置き換えられたとしても、その会合が担った意思決定や規則形成という役割は、何らかの形で実現されなければならなかった可能性がある。

この場合、特定の会合そのものは代替可能であっても、その会合が実際に担った構成的役割は、当該の組織の成立経路に組み込まれている。

したがって、代替可能性が存在することは、直ちに構成的資格を否定しない。

ただし、代替経路が存在する場合には、特定の出来事が唯一不可欠な前史であるとは主張できない。

本稿が認めるのは、実際に成立した構成的経路における歴史的資格である。

10.6.五条件を満たせば、なぜ閉包への包含が別途必要なのか

第六の反論は、五条件を満たしているならば、その履歴はすでに構成的前史であると認めてよいのではないかというものである。

しかし、五条件は履歴の候補を選別するための条件であって、その履歴が最小完全な構成的依存閉包に属していることを証明する条件ではない。

ある履歴が後続構造に関係していることと、その履歴が構造の同一性条件を実現するために必要な閉包に含まれることは、同じではない。

例えば、ある出来事が組織の設立に関係していたとしても、それが組織の同一性を成立させる構成的秩序に実際に含まれているとは限らない。

また、構造的境界を履歴に合わせて事後的に拡張するならば、どのような出来事でも構成的前史として含めることができてしまう。

この問題を避けるため、本稿は、K_D(S)とB_D^α(S)を独立に確定し、選別された履歴がその閉包に実際に含まれることを別途証明する。

P5とP6を区別するのは、この理由による。

10.7.歴史的資格Qが成立すれば、歴史内部の第一性も成立するのではないか

第七の反論は、過去の履歴が後続構造に対して構成的であるならば、その履歴は後続構造に対してすでに第一であると言えるのではないかというものである。

しかし、歴史的資格Qと第一性は異なる問題である。

Qが示すのは、過去の履歴が後続構造の構成的前史としての資格を持つことである。

これに対して、第一性は、同一の構造、同一の同一性水準および同一の規定次元において、ある項の同一性条件が別の項の規定に構成的に依存し、その依存が非対称的に成立する場合に認められる。

したがって、Qが成立しても、歴史内部の諸項が対称的に依存しているならば、第一性は成立しない。

また、複数の履歴が異なる規定次元を担っている場合には、一つの履歴だけを唯一の第一のものとして位置づけることもできない。

歴史的第一性を主張するためには、ODの実在と非対称性を独立に証明しなければならない。

10.8.構造的境界は過去の履歴を含むように設定されているだけではないか

第八の反論は、B_D^α(S)の中に過去の履歴を含めることで、最初からその履歴が構成的であると仮定しているのではないかというものである。

この反論を避けるためには、B_D^α(S)を履歴の選別とは独立に確定する必要がある。

第一論文のK_D(S)とB_D^α(S)の判定基準は、同一性水準Dにおける構造の成立条件から決まるものであり、特定の歴史的履歴を含めたいという目的から逆算してはならない。

その後で、H_{S,D}(t₀)がB_D^α(S)に実際に含まれるかどうかを確認する。

したがって、閉包に含まれない履歴を、歴史的資格を成立させるために後から追加することはできない。

もし実際の履歴が既定の閉包に含まれないならば、その履歴は、少なくとも現在採用しているK_D(S)とB_D^α(S)のもとでは構成的前史として認められない。

その場合、必要なのは、履歴に都合よく閉包を変更することではなく、構造の同一性条件そのものを独立した根拠によって再検討することである。

10.9.第一論文と第二論文を統合すると、時間と構造が混同されないか

第九の反論は、構造内部の個体化を説明する第一論文と、時間的履歴を扱う第二論文を統合することで、構造的な関係と時間的な関係が混同されるのではないかというものである。

この問題に対しては、Rᶜ、C、I、ODおよび→_cの関係の型を維持する必要がある。

これらは同じ関係ではない。

構造内部の個体化を示すIと、時間的に先行する履歴が後続構造に接続される→_cは、異なる問題を扱っている。

また、ODは構造項の同一性条件の依存を示す関係であり、単なる時間的な前後関係を示すものではない。

しかし、それぞれの関係が異なることは、同じ構成的依存秩序に属することを妨げない。

T3が示すのは、異なる関係の型を維持したまま、それらが同じ構造的不変項K_D(S)を実現するネットワークに接続されていることである。

したがって、二本の論文を統合しても、時間的関係と構造的関係が同一化されるわけではない。

11.結論――構成的前史としての過去と第一性の成立

本稿では、過去の履歴が後続構造に対して持つ構成的意味を明らかにするため、歴史的遡及性という概念を導入した。

通常、過去の出来事は、後続する構造や制度の時間的・因果的な背景として理解される。しかし、後続構造の同一性条件が過去の出来事、過程および関係に実際に依存している場合、それらを単なる歴史的背景として扱うことはできない。

本稿は、この問題に対して、通時的構成的依存可能性A3を導入した。

A3は、後続構造の構成的同一性条件が、構造成立以前の時間的履歴に依存しうることを認める存在論的前提である。ただし、A3は、すべての過去の出来事が後続構造の構成的前史になることを意味しない。

そこで本稿は、全履歴H(t₀)から、後続構造Sと同一性水準Dに関係する履歴H_{S,D}(t₀)を選別する五条件を提示した。

第一の条件は、履歴が実際に構造成立以前に存在していたという時間的先行性と実在性である。

第二の条件は、当該の履歴が他の出来事や過程から識別できることである。

第三の条件は、過去の出来事によって形成された規則、関係、制度的条件または物質的条件が、後続構造に連続的に伝達されていることである。

第四の条件は、過去の履歴が、後続構造の構造的不変項K_D(S)に対して構成的関連性を持つことである。

第五の条件は、個別の出来事の代替可能性と、その出来事が担った構成的役割の必要性を区別することである。

これらの五条件によって、単なる時間的背景や因果的影響と、後続構造に対する構成的前史の候補を区別することが可能となる。

しかし、五条件を満たすことだけでは、歴史的資格Qは成立しない。

そのためには、選別された履歴H_{S,D}(t₀)が、後続構造の構造的不変項K_D(S)を実現する同一の構造的閉包B_D^α(S)に実際に包含されていなければならない。

この包含は、履歴に合わせて閉包を事後的に拡張することによって認められるものではない。構造的閉包は、同一性条件を実現する最小完全な構成的依存の範囲として独立に確定され、その内部に履歴が実際に含まれていることが確認されなければならない。

以上によって、歴史的資格Qの成立条件が明らかになった。

歴史的資格Qが成立したということは、過去の履歴が後続構造の単なる時間的背景ではなく、その構造の同一性条件を実現する構成的前史として位置づけられるということである。

ただし、Qは歴史内部の第一性を意味しない。

歴史内部の第一性を認めるためには、第一論文で定義したODが歴史的な構成項のあいだに成立し、その依存関係が特定の同一性水準と規定次元において非対称的であることを別途確認しなければならない。

したがって、歴史的資格と第一性は、同じ構成的依存秩序に関わりながらも、異なる論理的な段階に位置づけられる。

さらに本稿は、第一論文と第二論文の接続を示す統一定理T3を提示した。

T3によって、構造内部の個体化と第一性、および過去の履歴の構成的資格は、同じ構造S、同一性水準D、構造的不変項K_D(S)および構造的閉包B_D^α(S)を共有する、同一の構成的依存秩序の異なる領域として説明される。

この統合は、両論文の対象を同一化するものではない。

第一論文は、構造内部の差異的契機が構造項として個体化され、条件を満たす場合に第一性が成立することを説明する。

第二論文は、構造成立以前の履歴が後続構造の構成的前史として資格を得る条件を説明する。

両者は、構造的不変項と構成的依存秩序という共通の存在論的基礎を持ちながら、異なる問題を扱っている。

以上から、本稿が提示した歴史的遡及性は、過去の出来事の存在や内容を後から変更する理論ではない。過去の履歴が実際に存在していたという事実を維持したまま、その履歴が後続構造にとって持つ構成的な位置を明らかにする理論である。

個体性は、構造の成立を通じて遡及的に確定する。そして、その構造の成立に関わる過去の履歴は、同一の構成的依存秩序の内部で、構成的前史として遡及的に確定する。

こうして、構造内部の個体化と歴史的な前史の構成的資格は、二つの異なる遡及性として、一つの構造的個体化存在論の内部に位置づけられる。


注

注1 本稿でいう歴史的遡及性は、時間的な逆因果や過去の事実の変更を意味しない。すでに実在していた過去の履歴が、後続構造の成立条件との関係で構成的前史としての資格を得ることを意味する。

注2 本稿は、第一論文「構造的個体化から第一性へ――『第一性の遡及的成立』における構造的存在論」で確定したΔ、Rᶜ、S、D、K_D(S)、B_D^α(S)、C、IおよびODの定義を継承する。本稿で導入するA3と→_cは、それらの構造的存在論を通時的な履歴へ拡張するためのものである。

注3 時間的先行性と因果的依存、構成的依存の区別については、一般的な因果説明と構成的説明を区別する現代の形而上学的議論を参照。特にFine(2012)およびCorreia and Schnieder(2012)を参照。ただし、本稿の→_cは、それらの議論をそのまま採用するものではなく、歴史的前史と後続構造の関係を説明するために導入した概念である。

注4 五条件は、歴史的資格Qの対象となる履歴を選別するための判定条件である。五条件の充足だけで、履歴がB_D^α(S)に実際に含まれることを証明したことにはならない。この包含はP6で独立に検証される。

注5 歴史的履歴の識別可能性は、文書資料の存在だけに限定されない。制度的な継承、物質的痕跡、複数の独立した証拠などによっても確認されうる。ただし、証拠の不十分さと、存在論的な履歴の不成立を混同してはならない。

注6 過去の出来事の代替可能性については、その出来事が実際に担った役割と、その役割が別の経路でも実現可能だったかどうかを区別する必要がある。本稿は、個々の出来事が唯一不可欠であることを、歴史的資格の一般的条件とはしない。

注7 本稿のA3は、第一論文の個体化根拠充足原理Gから演繹されたものではない。A3は、後続構造の構成的同一性条件が過去の履歴に依存しうることを認める独立した存在論的前提である。

注8 歴史的資格Qと歴史的第一性は区別される。Qは履歴の構成的前史としての資格を示すものであり、ODの非対称性を証明するものではない。第一性については、第一論文で提示した構成的優先性の橋渡し原理を、歴史内部の構成的関係に対して独立に適用する必要がある。

注9 構造的閉包B_D^α(S)が複数存在する場合、第一論文と第二論文で同一の閉包候補を使用するか、候補ごとに独立した証明を行わなければならない。ある履歴が一つの閉包に含まれることから、別の閉包にも含まれると一般化することはできない。

注10 歴史的遡及性において、過去の履歴H(t₀)のt₀は単一の時間的瞬間ではなく、構造成立以前に広がる時間的範囲を表す。したがって、複数の履歴のあいだに時間的な順序が存在する場合、それらを一つの時点に圧縮してはならない。

注11 組織や制度の同一性については、Searle(1995)が制度的事実と構成的規則の関係を論じている。本稿は、その議論を歴史的前史の構成的資格の直接的な証明として使用するのではなく、制度的構造と同一性条件の関係を検討するための比較対象として参照する。

注12 時間と歴史的な意味づけの関係については、Ricoeur(1984–1988)およびKoselleck(2004)を参照。本稿の歴史的遡及性は、物語的な歴史理解や歴史時間の概念と接点を持つが、それらと同一の理論ではなく、後続構造の構成的同一性条件を基準とする存在論的な関係として定義される。

注13 第一論文と第二論文の統一定理T3は、異なる型の関係を一つの関係へ還元するものではない。Rᶜ、C、I、ODおよび→_cの型を維持したまま、それらが同一の構造的不変項を実現する構成的依存ネットワークに接続されることを示すものである。


参考文献

Ⅰ.一次文献・哲学的背景

Deleuze, Gilles. 1968. Différence et répétition. Paris: Presses Universitaires de France.

Deleuze, Gilles. 1994. Difference and Repetition. Translated by Paul Patton. New York: Columbia University Press.

Hegel, Georg Wilhelm Friedrich. 1812–1816. Wissenschaft der Logik. Nürnberg: Johann Leonhard Schrag.

Hegel, Georg Wilhelm Friedrich. 2010. The Science of Logic. Edited and translated by George di Giovanni. Cambridge: Cambridge University Press.

Simondon, Gilbert. 2005. L’Individuation à la lumière des notions de forme et d’information. Grenoble: Jérôme Millon.

Simondon, Gilbert. 2020. Individuation in Light of Notions of Form and Information. Translated by Taylor Adkins. Minneapolis: University of Minnesota Press.

Spinoza, Benedictus de. 1925. Opera, vol. II. Edited by Carl Gebhardt. Heidelberg: Carl Winter.

Ⅱ.歴史・時間・制度に関する研究

Abbott, Andrew. 2001. Time Matters: On Theory and Method. Chicago: University of Chicago Press.

Koselleck, Reinhart. 2004. Futures Past: On the Semantics of Historical Time. Translated by Keith Tribe. New York: Columbia University Press.

Ricoeur, Paul. 1984. Time and Narrative, Volume 1. Translated by Kathleen McLaughlin and David Pellauer. Chicago: University of Chicago Press.

Ricoeur, Paul. 1985. Time and Narrative, Volume 2. Translated by Kathleen McLaughlin and David Pellauer. Chicago: University of Chicago Press.

Ricoeur, Paul. 1988. Time and Narrative, Volume 3. Translated by Kathleen Blamey and David Pellauer. Chicago: University of Chicago Press.

Searle, John R. 1995. The Construction of Social Reality. New York: Free Press.

Ⅲ.現代形而上学・存在論に関する研究

Correia, Fabrice, and Benjamin Schnieder, eds. 2012. Metaphysical Grounding: Understanding the Structure of Reality. Cambridge: Cambridge University Press.

Fine, Kit. 2012. “Guide to Ground.” In Metaphysical Grounding: Understanding the Structure of Reality, edited by Fabrice Correia and Benjamin Schnieder, 37–80. Cambridge: Cambridge University Press.

Lowe, E. J. 2012. “Asymmetrical Dependence in Individuation.” In Metaphysical Grounding: Understanding the Structure of Reality, edited by Fabrice Correia and Benjamin Schnieder, 214–233. Cambridge: Cambridge University Press.

Ⅳ.本研究の関連論文

「構造的個体化から第一性へ――『第一性の遡及的成立』における構造的存在論」第一論文・最終稿。

「歴史的前史の構成的資格と第一性の遡及的成立――構造的個体化の通時的拡張」第二論文・本稿。

コメント

タイトルとURLをコピーしました