皆さん、『エチカ』読んでますか。
私は大体つねに読んでいます。
この記事では、ノートアプリ「Obsidian」上で『エチカ』を読むことで、普通に本で読むよりも効率的に『エチカ』を読むことができるようになる方法を紹介しています。
『エチカ』の引証箇所に一瞬でアクセスできる環境が手に入りますので、ぜひ一度試してみていただければと思います。
『エチカ』を読むことにおける煩わしさ
『エチカ』における幾何学的様式での記述の特性として、最初に定義と公理が置かれ、それらから各定理が証明されていくというスタイルになっています。
そのため各定理においては、既出の定義、公理などから新たな証明が導かれていきます。
つまり『エチカ』においては、数学の証明問題のような極めて論理的で形式的な流れで、文章が構築されていくような記述スタイルになっているということです。
そのため、『エチカ』本文中において「第○部 定理○○より」という形で、既出の定義などが引証されることが頻繁にあります。
通常であれば、その度に本のページを繰って引証先の定義などを確認しにいくことになります。
これが実に煩わしい。
正直そんなことをやっていたら一向に前に進まず、時間だけが過ぎていくことになります。
そのため結局その部分は読み飛ばして先に進む、という読み方になってしまいます。
別にそのような読み方でも悪くはないかもしれません。
しかし、それでは「幾何学的様式」にこだわって書かれた『エチカ』の醍醐味を味わい尽くせないのではないでしょうか。
スピノザフリークとしては当然の疑念ではないでしょうか。
ノートアプリ「Obsidian」で『エチカ』を読むということ
そこで今回紹介するノートアプリ「Obsidian」に『エチカ』をぶちこんで(急に口悪いな…)読んでみたところ一気に悩みが解消されました。
私が良いと思ったことを以下に挙げておきます。
- 引証箇所に一瞬でアクセスできる。
- グラフビューで定理どうしの繋がりを視覚的に構造化できる。
- 横書きになり一行における文字数が少なくなるので本で読むより読みやすい。
- 自分のMacBookの中に『エチカ』を所有しているという自己満足感。
「Obsidian」の具体的な導入方法や使い方については他に解説記事がたくさん公開されていますのでそちらを参照していただくとして、まずは私のMacBookの画面を見ていただきたいと思います。
画像左側にあるように『エチカ』の項目ごとにノートを作成し、それぞれの引証部分をリンクさせています。
次の左側の画像を見ていただければわかるように、リンク箇所(紫色に反転した文字部分)にマウスポインタを合わせると引証先の定理等が表示されます。
次の右側の画像のように、引証先のさらに引証先の定理等を表示することもできます。
これにより一瞬で引証箇所にアクセスすることができるようになるため、普通に本で『エチカ』を読むよりも効率的に引証先の定理等を読むことができるようになります。
さらに、グラフビュー機能を使えば定理間の関係性を視覚的に把握することができます。
(次の画像は一番上の画像右側部分のみ拡大したもの)
どの定理にたくさんの引証が集まってきているなどが一目瞭然でわかるため、定理間の関係性を構造的に理解することができます。
また、表示が横書きになり一行における文字数が少なくなることによると思われますが、私としては「Obsidian」上で『エチカ』を読んだ方が、本で読むよりも読みやすいということがあります。
そして、パソコンのローカル環境にデータを保存することができるという「Obsidian」の特性により、自分のMacBookのなかに『エチカ』を所有することができるという謎の自己満足感を味わうこともできます。
ということで、『エチカ』は「Obsidian」で読むべし、です。
本の内容をデータ化することの手間
ここまでメリットばかり挙げてきましたが、「Obsidian」上で『エチカ』を読むことのデメリットも指摘しておきたいと思います。
「本の内容をデータ化してパソコンに移植するのに大変手間がかかる」
これに尽きます。
唯一のデメリットといっても良いと思います。
しかし、私自身その作業を行ってみて、手間とは感じない部分が大きかったことも事実です。
なぜなら、データ化するという作業自体そもそも『エチカ』を読むという行為と同時並行的に行うことができるからです。
私のデータ移行の流れを参考までに書いておきます。
- 本のページをスマホで撮影する。
- Googleレンズで画像をテキストデータに変換してコピーする。
- 「Obsidian」上のノートにペーストする。
具体的なやり方は各自で検索するなどして調べてくれよな
あとは、ペーストされたテキストデータを多少調整したり、引証部分にリンクをつけたりしながら、それと同時に『エチカ』の内容もしっかり読む。
リンクがちゃんと機能しているか確認しながらリンク先の内容も読む。
このような方法で地道に進めていけば、『エチカ』を読みながらデータ移植も同時に行えるので、私としてはそこまで手間という感覚はありませんでした。
まとめ
「Obsidian」で『エチカ』を読むことによって一石三鳥、四鳥もあるよ、という話でしたが、いかがだったでしょうか。
幾何学的な証明というスタイルをとる『エチカ』ならではの読み方の一つとして提案させていただきました。
この方法は「軽く『エチカ』を読んでみようかなぁ」という方には、本の内容をデータ化するという手間がかかるため、あまりおすすめできないかもしれません。
本格的に『エチカ』を読んでみたいと思われる方には、この方法がハマるかもしれません。
無料でできますし、一度試していただければと思います。
また、これ以外になにか、『エチカ』を読む上で役に立つテクニックなどありましたらコメント欄から教えてもらえるとうれしいです。
当ブログではスピノザの『エチカ』に関して、他にも様々な記事を書いておりますのでぜひ読んでみてください。
ではまた。
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