唐突ではあるが、スピノザの『エチカ』を原典で読みはじめた。自分でもまだ半分くらい信じられない。「まさか!」という感じである。
きっかけは、Discordでラテン語勉強会に参加させていただき、ラテン語の基礎から学ぶことができたこと。
これまで哲学は完全に独学であったが、ラテン語は違った。というか、独学なら間違いなく挫折していただろう。
毎週の勉強会に向けてテキストの予習をする。そして勉強会で知識の定着を図る。勉強会があることである種の義務感をもってラテン語に立ち向かえた。始めの方は義務感のほうが強かったラテン語学習もテキストの折り返し地点を過ぎたあたりから本格的におもしろいと感じることが増えた。
テキストの3分の2を過ぎたくらいで「そろそろ読める!?」ような気がしてきた。
ものは試しで『エチカ』原典読んでみよう!と思い立ち、急遽原典を取り寄せた。
読んでみたら、案外読めた。
2025年の2月に勉強会が始まり、『エチカ』原典を読み始めたのが9月初旬なので、ここまで8ヶ月くらいか。
8ヶ月を長いと見るか、短いと見るかは人それぞれだろうが、私としてはすごく短いと思った。もっと何年も努力しないと読めないものかと思っていたから「もう読めちゃうの!?」という驚きがあった。
どうせ読むなら、現時点の能力で自分で翻訳してみて自分が理解に窮したところや、気になったことを記事にしていけば、後から振り返ったときに何か役に立つことがあるかもしれない。
そのようにして「ラテン語で読むスピノザ『エチカ』」のブログシリーズを始めてみることにした。
方針
記事の基本的なフォーマットは、定理等の各項目に対して
- 「ラテン語原文」
- 「自訳」
- 「語釈」
- 「解説」
の順とする。備考等で長いものに関しては適当な分量で区切る。
- 「ラテン語原文」についてはゲプハルト版『エチカ』のラテン語テクストをそのまま掲載する。
- 「自訳」についてはできるだけ直訳を意識する。専門用語の訳出については基本的にはスピノザ全集版『エチカ』上野修訳を参考にさせていただき、一部自分の理解しやすいように変更する。
- 「語釈」については一語一語全てを解説するのではなく、ラテン語文法入門書レベルの自分が理解に詰まったところに絞って取り上げる。ラテン語勉強会で使用した書籍「しっかり学ぶ初級ラテン語」山本太郎著の該当ページを適宜参照する。
- 「解説」ついてはスピノザ哲学の中身に関して、主にこれまでに読んだ研究書やAIとの壁打ちから、これも自分の感覚に従い補足的に説明しておいた方が良いと思ったことをできるだけ簡潔にまとめる。
総目次
各記事はこちらの総目次にまとめていく。各記事にリンクを貼っておく。
第一部
終わりに
AIの出現によって世の中が大きく変わりつつある今、人間が作り出す全ての創作物の価値が問われている。
人間にしかできないことは何なのか?
あえて人間が創作する意味は?
他の誰もやっていない自分にしかできないことなんてあるのか?
穴だらけで未完成なものをアウトプットすることに価値はあるのか?
やらない理由を探せばいくらでも出てくる世の中だ。
それでも自分の直感に頼り、その感覚を、思考を信じて表現する。
未完成で穴だらけでも出してみようではないか。
それが将来の自分の糧になるなら。
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