牧野紀之訳ヘーゲル『小論理学』の感想

ヘーゲル
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どうもOGKです。

今回は「未知谷」から出版されていますヘーゲル『小論理学』牧野紀之訳についての読書感想文になります。

内容について詳しく立ち入るほど理解できたわけではありませんので、主に1周目を読了した時点で率直に感じたことを書いてみようと思います。

まずヘーゲルの哲学を学ぶ上で当著作が「虎の巻」と言っても過言ではないほど重要なものになってくること、これは揺るぎない事実だと感じました。

全ヘーゲル学徒必携の著作であると断言できるほどにおすすめしたい、ということを記事の冒頭ではありますが記しておきます。

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1周目

  • 2024年8月10日前後に購入。
  • 2024年10月12日読了。

この期間、基本的に他の本には手を出さず、SNSもできるだけ見ないようにして『小論理学』に集中しました。

平日は平均して1時間半くらい、休日は2時間から3時間ほどは読めたでしょうか。まったく読めない日もありましたがトータル10日程度だったと思います。

約2ヶ月でこの大著を読み切ったと考えると遅読の自分としてはかなりがんばったのではないか、と充実感を感じると同時に、それはこの本自体の読みやすさとおもしろさによるところが大きいと冷静に分析するところもあります。

もちろん通読したというだけで、理解できたとは口が裂けても言えませんが…

この著作全体を通して、まず訳註と翻訳文内の随所に角括弧〔〕で入れられる訳者の加筆部分が特筆すべきかと思います。

通読してみて、もちろんヘーゲルの『小論理学』を読んだことに間違いはないのですが、それよりもなによりも訳者である牧野紀之という人間について思いを馳ざるをえない、というのが率直な感想です。

なによりこれまで読んできた哲学書の翻訳とは一線を画していると言っても過言ではないほどに訳者、牧野紀之の信念が、どストレートに表現されています。

哲学書の翻訳において、訳者がここまで辛辣にその著者ヘーゲルや他の哲学研究者を批判的に書いているのを私は初めて読みましたし、それはこれまで暗黙的なルールとして「訳者はあくまでも裏方に徹する」という認識を良い意味で裏切っているのではないでしょうか。

つまりこの本では『小論理学』という哲学書の翻訳であると同時に、ヘーゲル研究者「牧野紀之」におけるヘーゲル哲学の解釈が前面に押し出されているのです。

そして、訳者である牧野はそれを意図的に、というか信念をもって行っているということです。

また、これだけの大著にもかかわらず、誤植と思われる箇所が見当たらなかったということも、この翻訳にかける訳者と編集者の並並ならぬ想いを感じずにはいられません。

普段はもっと薄い本を読んでいても一箇所くらいは誤植を発見することが多いのですが…

さらに、付録として収録されている3つの論文、そのすべてが光を放つが如く卓越した出来栄えになっています。

詳細は別に解説記事を出したいと思います。

本の値段に関しては、もちろん決して安いものではありませんが、ヘーゲル研究者「牧野紀之」における生涯の研究成果が凝縮されていると思えば、むしろ安すぎるくらいです。

自分にとっては、この付録を読むためだけにでも購入する価値がありました。

ただし、値段に関しては価値観や状況によって感じ方は人それぞれだとは思いますので一概にはなんとも言えません。

まとめ

以上、牧野紀之訳ヘーゲル『小論理学』についての感想を書いてみましたがいかがだったでしょうか。

今回ヘーゲル『小論理学』を読んでみて直感的に感じたことがあります。

それは「この著作のなかにヘーゲル哲学の真髄が書かれている」ということです。

あくまでも「直感的に」感じただけで、その明確な根拠を言語化できないことには歯痒さを感じます。

そして、私のように独学で哲学を学ぶ者にとって、この牧野紀之訳の『小論理学』がその真髄に近づくための正攻法になるのではないかと思いました。

読了後、別の本に進もうかとも思ったのですが、まだ記憶が鮮明なうちに2周目を読んでみようという気になりました。

この本とは長い付き合いになりそうです。

また2周目が読み終わりましたら、感想を追記したいと思います。

ではまた。

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